8代目のファントムは、新機能〝ロールス・ロイス・コネクテッド〟も搭載
ロールス・ロイス・モーター・カーズは英国時間の5月12日、高級車に対して一家言を持つ自社顧客から収集した様々なフィードバックを反映させた上で、新たな搭載機能〝ロールス・ロイス・コネクテッド〟を備えたファントム・シリーズ Ⅱ を発表した。( 坂上 賢治 )
この8代目にあたるベースモデルのファントム。そのスタイリングは、今から5年前の2017年に発表されたもの。今回の車両改良にあたり、ロールス・ロイス社のデザイナーとエンジニア達は、顧客からの「大きな変更を加えずに、洗練度を更に高めて欲しい」という要望を受け、〝何を変更するか〟だけに拘らず、何を残し、何を守るかに重点を置いたという。
そうしたなかで同社は、保持すべき最も重要なポイントとして、その堂々とした存在感を如何に伸ばしていくかに腐心したという。そのため左右のデイタイム・ランニング・ライトの間のパンテオン・グリル上部へは、新たにポリッシュ仕上げを組み合わせた水平基調のラインを強調させた。
この幾何学的な小変更により、正面からの見たスピリット・オブ・エクスタシーやRRバッジが引き立つ効果を控えめに付与させてきた。また今回から先のゴーストで披露されたイルミネーション付きグリルが新たに採用されている。
併せてヘッドライトにはレーザー・カットを施したスターライト・ベゼルを組み込み、夜間に於けるファントムの存在感をより強くするべく改良を加えた。また車体側面から眺めたボディのアピアランスでは、ショート・フロントとロング・リア・オーバーハング、ロング・ホイールベース、乗員のプライバシーを 確保するための太めのピラーといったファントムならではの特徴をそのままに踏襲しつつも、ダッシュボードからフロント・アクスルまでの長さをより強く打ち出している。
その車体サイドから見えるのは、三角形のファセット形状が目立つ削り出しのステンレス・スチール製ホイールで、同アイテムは全研磨仕上げか、部分研磨仕上けかのふたつからの選択が可能。同部分のディスク・ホイールは研磨仕上げされたステンレス・スチールとブラック・ラッカー仕上げの両バージョンから用意される。
シリーズラインの〝ファントム〟と〝ファントム・エクステンデット〟を用意
インテリアでは、ステアリング・ホイールをわずかに太く改良。これに伴うダイレクトな操舵感覚は、オーナー・ドライバーに対してファントムとの会話をより濃く醸成することでクルマとの密接なつながりを提案するもの。
なお今シリーズに於ける〝ファントム〟と〝ファントム・エクステンデット〟には、それぞれの車両毎に異なる特徴を持たせている。より具体的には、自身でクルマのステアリングを握りたい顧客に向けた「ファントム」に対して「ファントム・エクステンデッド」は、運転手付き自動車として後部座席に乗車し豪華な移動体験を好む層に対して手厚く仕立てられている。
なお今回のファントムには、先にも記した〝ロールス・ロイス・コネクテッド〟が搭載されている。これによりファントムのオーナーは、ロールス・ロイス会員専用のプライベート・アプリケーション「ウィスパーズ」からイベント会場やレストランへ直接アクセスでき、車両のセキュリティー状態も手に取るように把握できる。もちろんシームレスなナビゲーション体験も存分に堪能できるとしている。
今回のファントムについても、車両のオーナーが移動に於ける贅沢の極みを追求することができ、 ロールス・ロイスは、そうした贅沢さを追求することに加えて、技術的、物質的、美的、性能的にも世界最高のクルマであり続けることを目指している。
最後にこの新たなファントム・シリーズ Ⅱ のリリースを記念し、プラチナ・ホワイトに仕立てた「ファントム・プラティーノ」も併せて公表している。これはロールス・ロイスの創業期を想い起こさせるものとしてファブリック製インテリアの贅沢さを探求したモデルで、手描き・手刺繍のシルク製インテリアを備えていた「セレニティ」から手掛けられたもの。
プラチナ・ホワイト仕立ての「ファントム・プラティーノ」は伝統と豪華さの融合
このファントム・プラティーノのフロント・シートは、ロールス・ロイス・ファイン・レザー仕上げとなっており、対してリヤ・シー トはファブリック仕上げとなっている。なおインテリアはイタリアの専用工場で製作された流れるような濃淡カラーで仕上げられており、耐久性と豪華な外観を両立させている。
同車についてロールス・ロイス・モーター・カーズ最高経営責任者のトルステン・ミュラー・エトヴェシュ氏は「私たちは平素よりお客様がファントムに寄せる敬意や愛情を強く感じています。
そうしたお客様は、ファントムをこれ以上改良することは不可能だと感じていらっしゃる方も多いようですが、そしたご要望を包み込み、尊重しながら私たちが更なる完璧さを追求することで手を緩めることはありません。
新型ファントム・シリーズのために行ったわずかな仕様変更の積み重ねは、すべて綿密に検討され細心の注意を払って実施されたものばかりです。
実際、このモデルはロールス・ロイス の最高峰に立つ製品として最高のデザイン、最高のエンジニアリング、最高のクラフツマ ンシップを表現しており、当社の創造性を筆頭に最高級の素材と精巧さ が完璧に融合した製品です。
ファントムは、 常に世界最高のクルマと見なされており、ビスポークの能力は、お客様ご自身にとっても最高のクルマになり得るということでしょう。私たちの製品は、長きに亘りお乗り頂いても時代を超えた贅沢の極みを愉しむことができます。
それらはかつてヘンリー・ロイス卿自身が述べたように、〝小さなことが完璧さを生み出すが、完璧であることは小さなことではない〟とするクルマ造りの想いを脈々と受け継ぐものであるのです」と結んでいる。