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2018年11月8日【エネルギー】

ルノー・日産・三菱自動車連合、フランスでバン車両の生産を拡大

坂上 賢治

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モブージュ工場は今後、ルノー次世代カングーと日産の新NV250を生産するアライアンスの小型バン生産拠点へ

 

ちなみにルノー・モブージュ工場は、約50年に亘ってフランスの自動車生産を牽引してきた。現在2千2百名以上の従業員を雇用。

小型商用車と電気自動車の専門知識を持つ同工場は、現在、ルノー「カングー」、「カングーZ.E.」、メルセデス・ベンツ「シタン」を生産しており、生産車両の60%を33カ国に輸出している。

 

フランスのルノー工場の中で最も高い生産効率を誇る同工場は、製造業近代化政策「インダストリー4.0」においてベンチマークとされている。2017年には、欧州のEV販売を牽引した「カングーZ.E.」が貢献し、世界で13万台以上の「カングー」を販売した。

 

2017年にモブージュ工場では従業員の教育に2万7千時間以上を費やした。これは従業員1名あたり約20時間を当てたことになる。また若者の就業に力を入れている現地の学校と共同で、強力な職場訓練プログラムの開発を行っている。

同工場は、先の通り電動化モデルを含む次世代のルノー「カングー」シリーズの生産ハブとなる拠点でることから、ルノーグループは今後5年間で、この「カングー」の生産に4億5千万ユーロを投資していく。加えて2019年には、200名を新規雇用し、バンの生産拡大をサポートする。

 

対してサンドゥヴィル工場では、ルノー「トラフィック」のプラットフォームをベースにした三菱自動車の新型バン生産へ

 

併せて現行型「カングー」のプラットフォームをベースにした日産の新型小型バン「NV250」も、モブージュ工場で2019年半ばより生産を開始する予定。

 

この工場視察を前に、パリでダイムラーと共に行った共同記者会見で、ルノー・日産・三菱自動車のアライアンスとダイムラーは両社のパートナーシップを再確認している。これを前提にルノーは現在、モブージュ工場でメルセデス・ベンツのバン「シタン」の生産も行っている。

 

一方、三菱自動車は、ルノーの有するバンの専門知識を活用し、サンドゥヴィル工場で生産されているルノー「トラフィック」のプラットフォームを採用した車両をオーストラリアやニュージーランド向けに調達すると発表している。

 

記事中に取り上げたルノー・サンドゥヴィル工場は、フランスのセーヌ=マリティーム県の製造業を牽引する存在で、約2千名の従業員を雇用。

同工場はルノーの小型商用車「トラフィック」に加え、フィアットや日産向けの小型車両を生産しており、生産車両の70%を輸出している。また2017年には10万4千台以上の「トラフィック」が世界で販売されている。

 

最後にこれらの策は、今後のルノー・日産・三菱自動車連合のフランスに於ける立ち位置を強めるものとなりそうだ。これはルノーの株主でもある仏政府を牽制し、アライアンスの結束が緩む流れを押し止め、連合の優位性や経済メリットを訴求するカルロス ゴーン氏独特の経営戦略の一環なのであろう。( MOTOR CARSから転載  )

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。