日本自動車輸入組合(JAIA)のクリスチャン・ヴィードマン理事長(ビー・エム・ダブリュー社長)は9月14日、理事長定例記者会見を東京都港区の自動車会館で開き、2022年後半の輸入車市場の展望について好調な電気自動車(EV)、SUV・クロスオーバーが「層、伸びるだろう」の期待感を表明した。(佃モビリティ総研・松下次男)
ヴィードマン理事長によると、外国メーカー車のEV販売は今年14ブランド62モデルと前年の10ブランド20モデルから約3倍増となり、販売台数も前年同期比58%増と大きく伸びた。
しかし、ドイツでは新車販売に占めるEVの販売比率25%弱に達しているのに比べると、まだまだわが国のEV販売比率は極めて低いと強調。カーボンニュートラルの実現に向け、EVを取り巻く環境整備の推進を訴えた。
その一つとして、EVやプラグインハイブリッド車(PHV)などの購入を助成する政府のCEV(クリーンエネルギー自動車)補助金の予算を10月または11月中に使い切ってしまう見通しになっているのに対し、追加の予算措置を求めた。
さらにEV用充電インフラについても集合住宅や公共施設への普及促進、とくに急速充電気の拡充を求めた。
また、JAIA自体も輸入電動車の認知向上に向けて「電動車普及促進イベント」を開催しており、昨年の東京に続き、今年6月には大阪で実施し、好評を博したと話す。このため、来年についても実施する計画で、開催地域などを検討する考えを示した。加えて、充電インフラなど関連企業の参加も増やしたいという。
今年前半の輸入車市場については、ほぼ全月間に渡って前年割れの実績が続いた。年初に「回復の年」と述べ、コロナ禍で傷んでいた市場からの脱却を期待していたが、半導体不足が予想以上に長びいていることやウクライナ情勢、コロナ禍でのサプライチェーン問題などから車両供給が滞るなどの影響が出たためだ。
しかし、それでも輸入車のシェアは着実に、上昇するなど回復の傾向は見えているとし、後半に各社が相次いで投入した新型車の効果が表れるよう期待感を示した。
中でも、アウトドア―需要の追い風により、好調な販売が続くSUVの一層の伸びを見込んでいる。SUV・クロスオーバーは輸入乗用車市場ですでに4割を超える販売比率になっている。
後半にかけて懸念されるのが材料費高騰や急速な円安。これについてヴィードマン理事長は「一部、車両価格を値上げしたところも聞くが、物流効率化などで吸収し、できるだけ負担を増やさないよう取り組んでいきたい」と述べた。
税制面では、自動車関係諸税の簡素化、負担軽減などの抜本的な改革とともに、期限切れを迎えるエコカー減税の継続を求めた。
安全、基準認証の国際調和に関する活動で、かねてから要望してきた車両全体での枠組みである国際的な車両型式認証制度のIWVTAが2019年4月から運用が開始され、2021年11月には重要な残課題であった排出ガス・燃費/電費などの新規則の追加が自動車基準調和フォーラムで合意された。この相互認証をさらに増やしていきたいと述べた。
アフターセールス分野においても、コネクテッド技術の発展に伴い、様々なサービスが可能となっている。
このため、通信回線などを利用したソフトウエア・アップデート時の新たな許可制度、導入が決まっている車載式故障診断装置を活用した電子的な車両検査制度、整備士などのサービス要員の確保問題についても取り組んでいきたいと話す。整備士不足では自動車整備専門学校などと交流を深める考えを示した。