このなかでも米国・シアトルで「Free2Mover」のサービスインを宣言したのは丁度1年ほど前の2017年の10月。
グループPSAとしては、米国当地に於ける車両販売の低迷を理由に、シトロエンブランドが1974年。続いてプジョーブランドが1991年に撤退。グループPSAが自ら米国内で新車流通を開始させるという意味では最後のプジョーブランド撤退から数えても実に27年振りのことである。
今後、米国では車両を消費者に販売するというビジネスモデルから、新たな可能性を模索しての動きとなっている。
なお最後に、記事面に挙げた「オートリブ(Autolib’)」についてだが、この手のEVシェアリングサービスでは、世界レベルで大きく先行していたのが同サービスだった。
そもそもはパリ行政当局の発案により、パリ周辺47市を巻き込んで「オートリブ・ヴェリブ・メトロポール組合(SAVM)」が設立された。ここに企業の競争入札を介して運輸・エネルギー大手ボロレグループがこれに応募・落札。2011年12月にサービスインした。
その後、参加自治体は103市に拡大。利用者も15万人に達した。しかしわが国日本での「親方日の丸」というべきか、行政運用によるその投資額は、1100カ所の充電設備・駐車場・情報通信システム・ピニンファリーナ出資のオリジナル車「ブルーカー」などの3952台の電気自動車の調達などを含め、約2億ユーロに到達。
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しかし肝心のボロレグループによる事業運用の累積赤字が2億9360万ユーロとなった時点で敢えなく廃止となり、わずか7年間という短命で終わることになった。
以来パリ市当局は、既に血税から投資した責任があることから、代わりとなる新サービス模索に懸命だった。そしてこの度、年も押し迫った12月になってようやく「Free2Move」が本格参入した。
今後当地では、BMWやスタートアップ企業参入の可能性もあるとされており、当面、パリを舞台にEVシェアリングの自由競争の幕が切って落とされたと言っていい状況になっている。( MOTOR CARSから転載 )