グループPSAジャパン及びグループPSAジャパン販売(本社:東京都目黒区、代表取締役社長:トマ・ビルコ)は12月28日、来る2021年1月1日付で、自社の新たな代表取締役社長として木村隆之氏(きむら たかゆき)が就任すると発表した。(坂上 賢治)
新社長となる木村隆之氏は1965年生まれの55歳。1987年・大坂大学工学部卒。同年にトヨタ自動車に入社。トヨタて海外商品企画で欧州モデル・米国事業企画などを手掛けた後、ベルギー・ブリュッセル駐在を経て、2003年・米ノースカロライナ大学で経営学修士(MBA)を取得。レクサス国内営業部で人材・開発/CSの責任者となった。
その後の2007年、自動車産業からアパレル産業への転身を果たし、ファーストリテイリング営業支援統括部長となったが、2008年に日産自動車 東京本社グローバルマーケティング・販売管理部部長。2009年・インドネシア日産自動車代表取締役社長。2012年からはアジア・パシフィック日産自動車兼タイ日産自動車社長を務め、2014年にボルボ・カー・ジャパン代表取締役社長に就任。2020年3月から12月まで同社顧問を務め現在に至る。
なお、2020年10月に図らずもイタリア所在の親族に係る事情で、グループPSAジャパン及びグループPSAジャパン販売を辞任することになったアンジェロ・シモーネ氏の後任として急遽、代表取締役兼マーケティング・ダイレクターを務めたトマ・ビルコ氏(Thomas Vilcot)は木村氏の同代表取締役人事に伴い今後、マーケティング・ダイレクターのみに専念し職務を継続する。
グループPSAジャパン及びグループPSAジャパン販売では、「木村隆之新代表取締役社長の下、プジョー、シトロエン・DSオートモビル並びにオペルを配し、日本国内マーケットでのさらなるプレゼンスの向上と躍進を目指します」と話している。
また今回、グループPSAジャパン及びグループPSAジャパン販売の新社長として迎えられることになった木村氏は、かつて前任のボルボ・カー・ジャパン社長に就任する以前から、自動車産業が成熟市場に向かうにつれて同マーケットが〝プレミアム〟と〝コモディティ〟の二極化に向かうことを予見していた。
そこで当時のボルボ・カー・コーポレーション本社の意向と戦略に乗じ、安全な輸入車として、日本で一部の熱心な顧客層に支えられていたボルボのプロモーション戦略を大胆に刷新した。
例えば当初、販売面でオプション設定として組み立てられていた最新装備を全車標準設定にするなどで、ブランドそのものに新たな加価値を与えることで、それまでのボルボをドイツのプレミアムブランドに次ぐステイタス車両に押し上げた立役者でもある。
さらに高い完成度や使い勝手、価格などでボルボ車が充分に対抗できると踏んだ木村氏は、億単位に近い広告費をあえて振り向けて、日本国内の販社スタッフ1500人をサーキットに集結させ、改めて「ボルボの伝道師」に仕立て上げる大規模研修を実施。昨今、人気が陰っているとしてプロモーション施策が手薄になってきている国産プレミアムセダンをターゲットに、シェア獲得に挑んだこともあった。
今後、木村氏はフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)と共に、ラテン語で〝星の光で輝く〟を意味する動詞〝stello(ステロ)〟に因んだ造語「STELLANTIS(ステランティス)」という統一グループ傘下となったPSAの日本戦略をどう舵取りし、再び新たな戦略を打ち立て拡大路線を敷くことができるのか。成功請負人としてのその采配に期待が集まるところだ。