競争のルール、ライバルが変わる中で、トヨタの舵取りのやり方も変えなければならないとの思いから、従来は4月に実施する役員体制の変更を前出しし、私と6人の副社長を中心とするマネジメントチームを編成いたしました。
更に、アフリカ担当の役員を豊田通商から、金融担当の役員を三井住友銀行から派遣していただきました。
社外取締役には、前経済産業省の菅原氏、前IPC会長のクレイヴァン氏、三井住友銀行の工藤氏に参画いただく予定です。
年齢、所属、性別、国籍に関係なく、それぞれの専門分野で培ったビジネスの知見、社外から見たトヨタの姿や世間とのギャップなどをトヨタの経営に持ち込み、牽引していただきたいと考えたからです。
いわば、サーキットレースからラリーに走り方を変えるという発想です。
ラリーでは、ドライバーとコドライバーが連携しながら、変化にとんだ実際の道をいかに速く走るかを競います。
ドライバーは、コーナーの先が見えていなくても、コドライバーが読み上げるペースノートを信じて全開でアタックします。
コドライバーは、これまでの経験や専門性を活かし、「ドライバー目線」で状況を判断し、ナビゲートします。
お互いに“命を預けあう”信頼関係がなければ務まらないものです。
つまり、カンパニープレジデントやグループ企業のトップを経験した副社長と各分野のエキスパートである社外取締役や役員が、私のコドライバーとして、「社長目線」で、ナビゲートしながら、より速くゴールを目指すやり方に転換するということです。
本年1月以降、既に、副社長や役員を中心に現場を巻き込んだ様々な活動が動き出しております。これからのトヨタの変化にご期待ください。
今の状況は、80年前と似ていると思います。
豊田喜一郎は、トヨタグループを織機から自動車をつくる企業グループにモデルチェンジすることに挑戦いたしました。
そして、今、私たちもまた、企業グループのモデルチェンジを目指します。
この闘いは自分たちのための闘いではなく、未来のモビリティ社会をつくるための闘いであり、未来の笑顔のための闘いです。
「継承者こそ、挑戦者でなければならない」との覚悟をもって、失敗を恐れず、よいと思うことは何でも挑戦してまいります。
うまくいかないこともあると思います。
むしろ、うまくいかないことの方が多いかもしれません。
是非とも、私どもの新たな挑戦をご支援いただきますようお願い申しあげます。
ありがとうございました。