私は、トヨタを「自動車をつくる会社」から、「モビリティ・カンパニー」にモデルチェンジすることを決断いたしました。
「モビリティ・カンパニー」とは、世界中の人々の「移動」に関わるあらゆるサービスを提供する会社です。
これは、「従来の延長線上にある成り行きの未来」と決別し、「自分たちの手で切りひらく未来」を選択したことを意味します。
100年に一度の大変革の時代を、「100年に一度の大チャンス」ととらえ、これまでにないスピードと、これまでにない発想で、自分たちの新しい未来を創造するためのチャレンジをしてまいります。
これまでも、環境変化に柔軟に対応し、持続的に成長していくために、カンパニー制の導入など、新たな仕組みづくりに取り組んでまいりましたが、私の中で、最も大きな力となっておりますのが、本年1月に実施した役員体制の変更です。
私流に言いますと2009年6月に社長に就任してからの8年間はサーキットレースをしていたように思います。
つまり、トヨタという巨大企業のドライバーズシートに一人で乗り込み、自分のセンサーを頼りに、お決まりのコースを速く走らせようとしていた気がするのです。
その中で感じていたことは、成功体験を持つ巨大企業を変革することの難しさです。