TPSの基本の1つに「原価主義より原価低減」ということがあります。
「原価に適正利潤を上乗せして販売価格を決める」のではなく、「販売価格は、市場すなわちお客様が決める」という大前提のもと、「我々にできることは原価を下げることだけだ」という考え方です。
「原価」を見ることは「行動」を見ることです。
一人ひとりが「原価意識」と「相場観」をもって、日常の行動の中にある「ムダ」を徹底的に排除する。
かつては、当たり前であったことが、いつのまにか「当たり前でなくなっていた」と気づくことからのスタートでした。
あらゆる職場で、「固定費の抜本的な見直し」を掲げ、日々の業務から、大きなイベント、プロジェクトに至るまで、一つひとつの費用を精査し、自分たちの行動の「何がムダか」を考え、地道な原価低減に徹底的に取り組みはじめました。
特に技術分野では、TNGAが二巡目に入ってまいります。
一巡目で達成した「より良いデザイン」や「性能アップ」を維持しながら、原価を下げる活動に取り組んでおります。
それぞれの地域のお客様に合った仕様・性能の見極めと徹底的な原価の作りこみに加え、開発の現場にも、標準作業や原単位、すなわち1つのアウトプットを出すために必要な時間、コストというTPSの概念を持ち込み、開発のリードタイムを短縮してまいります。
「連敗だけは絶対にしない」という強い決意のもと、トヨタに関わるすべての人が、全員参加で、地道に、泥臭く、徹底的に原価低減活動を積み重ねた結果が決算数値にも少しずつ表れ始めてきたのではないかと思っております。