ポルシェの伝統を受け継いだEVスポーツカー、来年9月から納車
ポルシェジャパン(ミヒャエル・キルシュ社長、本社・東京都港区)は11月20日、電気自動車(EV)のスポーツカー「タイカン」を日本で初公開し、同日から予約を受け付けると発表した。タイカンは独ポルシェ初のEVで、一充電当たりの航続距離は最大463キロメートル(WLTPに準拠)。2020年9月から納車を始める予定だ。
今年8月にポルシェ日本法人社長に就任したキルシュ氏は、自動車産業のパラダイムシフトの只中にあり、タイカンはそこで「新たなスタンダードを築く。EVでありながら、エモーショナルであり、ポルシェの魂を持ったクルマだ」と表現した。日本公開はドイツ、オランダに次ぐ3番目で、それだけに力がこもっていた。
タイカンの最大の特徴は、EVであると同時に、ポルシェの伝統を忠実に引き継いだスポーツカーであること。前後に2基の電気モーターを搭載し、後輪用モーターには2速変速機を組み込む。これによりトップモデルの「タイカンターボS」は最大761馬力を発揮し、0-100加速を2・8秒で駆け抜ける。
2基の電気モーター、後輪用モーターには2段変速機を組み込む
アレキサンダー・クワース・プロダクトマネージャーはそのデザインについて「初代911を彷彿させる」と述べ、ポルシェの代表的なスポーツカーをモチーフにしたシルエットであることを明かした。さらに過酷な条件でも安定して発揮できる信頼性を確保し、0-200キロメートル加速を26回繰り返した際のタイム差は1秒未満に抑えられているという。
充電は家庭用電源で可能なほか、日本規格のチャデモに対応。また、ポルシェジャパンは全国のポルシェセンターや公共施設に次世代チャデモに対応した急速充電器を順次、設置する計画で、その充電出力は最もパフルな150キロワットを採用。タイカンの車載バッテリーを30分以内に80%まで充電できるとしている。
走行面でもポルシェらしさを継続。実際に乗車すれば、ステアリングを通じて得られる安心感、安定性の高いハンドリング、快適な乗り心地はポルシェの各モデルに共通したものだ。これらは高剛性かつ軽量なボディ、低重心設計、卓越したエアロダイナミックス性能から生み出される。
自宅で充電でき航続距離は最大463km。チャデモの急速充電器に対応
さらにタイカンには最先端のコネクテッド、デジタル技術を搭載。16・8インチの大型ディスプレーを採用したポルシェ初のフルデジタル方式のメータークラスターをドライバー正面の配置し、最良の視認性を確保するともに、ホーム画面からすべての機能に直接アクセスできるオペレーティングシステムを提供する。
コネクテッド機能の「ポルシェ・コネクト」では、音声を通じて多彩な機能を操作できるボイスコントロールを備えているほか、スマートフォンからドアの施錠状態や駐車位置の確認などが可能だ。加えて、アップルミュージックを車両機能として世界で初めて組み込み、サブスクリプション登録者であれば5000万以上の楽曲が車内で楽しめる。
EV本体だけでなく、ポルシェは生産面でも環境負荷を低減するという。タイカンを生産するツッフェンハウゼンの新工場はバイオガスで稼働するコジェネレーションを配置するほか、再生可能エネルギーを多用する。
ポルシェ日本法人は11月20日から「期間限定タイカン予約プログラム」」を開始し、ユーザーの希望に沿ったかたちで車両を提供していく予定だ。車両販売価格は現状、未定。