自動車業界随一のブランド体験が実現する世界で9番目の施設
ポルシェジャパン(ミヒャエル・キルシュ社長、東京都港区)は11月24日、「ポルシェ・エクスペリエンスセンター(PEC)」東京」を来年夏後半に開設すると発表した。ポルシェがスポーツドライビングやブランド体験などが楽しめる施設として世界展開しているもので、PEC東京は9か所目の施設となる。(佃モビリティ総研・松下次男)
PEC東京は千葉県木更津市に開設する。同日、森田健作千葉県知事、渡辺芳邦木更津市長、およびキルシェ社長の3者が施設を活用し産業振興や観光振興、環境保全に寄与する活動支援の覚書に調印するとともに、記者会見を開いた。
PEC東京は2・1キロメートルの周回コースを持ち、ポルシェのスポーツカー性能を引き出すダイナミックエリア、オフロードなどの様々なトラックコンテンツを備える。敷地面積は43ヘクタールで、事業区域は13ヘクタールの広さ。
キルシェ社長は「今年夏には、フル電動スポーツカー、タイカンの日本投入にあわせ、全く新しい小売り施設、ポップアップストアのポルシェ・ナウ・トーキョーを開設しコミュニケーションに機会を拡大した。今度は体験、感動を与える施設。安全性にも寄与する」とPEC東京を紹介した。
高低差の設計を活かしスポーツドライビングとブランド体験が楽しめる
併設される建物では専属インストラクターによるポルシェの運転理論や技術の本格的なレクチャープログラムを実施するほか、ポルシェブランドが体感できるラウンジ、レストラン、本格的なレーシングシミュレーターなどを用意する。
さらに施設内には各種の研修が行えるミーティングルームやコーポレートイベントなどが開催できるエリアも併設し、様々な企業のビジネスニーズに対応させる。施設の設備は広く一般に貸し出す。
周回コースでは、ドイツ・ニューブルクリンクのカルーセル、米ラグナ・セカのコークスクリューなどの有名コーナーを再現する。キルシェ社長は「高速道路では不可能なコーナリング体験を、インストラクターが丁寧に指導してくれる。言葉では体感の楽しさを語りつくせない。是非体験を」と述べた。
また、PEC東京は「他のPECにない、三次元(立体構造)トラックを備え、高低差がある3Dドライブが楽しめる」と強調する。
ポルシェのPECはこれまでに英シルバーストーン、米アトランタ、仏ル・マン、独ライプツィヒ、米ロサンゼルス、中国・上海、独ホッケンハイム、伊フランチャコルタ(2021年オープン予定)に開設されている。
PEC東京はこれらに次いで開設されることになったが、キルシェ社長は木更津市を選んだ理由について「木更津はとても美しい自然に囲まれた都市であり、環境保全に関わる活動とも両立できる」と説明した。
このため、PEC東京は元の地形を生かし、これまでのPECが二次元トラック(平面的)だったのに対し、唯一、三次元トラックを採用する。
木更津に選んだことを、森田千葉県知事、渡辺木更津市長は歓迎
併設の建物は、日本の伝統工芸品に江戸切子をモチーフにした外観デザインを取り入れ、矢来紋という斜めの線で構成された日本の伝統文様により、華やかなデザイン性や損傷、汚れなどを保護する伝統的な様式が生かされている。館内には、左官や日本庭園を連想させる輪のテイストも採用される予定だ。
加えて、同施設の運営に当たっては高い次元で元の自然を生かすと強調。このため、千葉の自然環境保全条例規定に基づき、木更津市の立会いのもと「自然環境保全協定」を6月15日に千葉県と結んだ。
ポルシェジャパンも日本独自で実施するCSR活動「ポルシェ・ドリームトゥギャザー」をPEC東京開設にあわせて発表。「夢を持つきっかけを提供」「夢を叶えることをサポート」「持続的な環境を行う」活動を展開する。
森田千葉県知事、渡辺木更津市長はPEC東京の建設先を木更津に選んだことを「歓迎する」と述べるとともに、産業振興、観光振興および環境保全活動の取り組みに「期待感」を示した。