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2024年7月26日【新型車】

ポルシェカイエン、極秘のBEV&HVパワー搭載計画

坂上 賢治

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今後10年間を視野に、3種類の新世代カイエンのパワートレインを計画中

 

伝統の911を筆頭とするピュア・スポーツカーづくりに拘り続けてきたポルシェが、ブランド初のSUVの開発を手掛けたのは20世紀末のこと。その後の2002年、満を持して投入したのがスポーツSUVのカイエンだった。

 

同車は、登場以降20年以上に亘り、真のポルシェであることを疑う余地のないタフな走行性能を持ちながらも、日常生活の上でも優れた快適性を持ち、更にオフロードでに於いても優れた走破性を発揮するなど、そのフィールド対応力の広さと高さで一定の評価を得てきた。

 

 

しかし、そんなポルシェ カイエンも、いよいよ第4世代の開発に着手する段階に入っている。そんな次なるカイエンはフル電動モデルとなるという。しかも既にカモフラージュされたプロトタイプ車両を用いた過酷なテストプログラムが進行中だともいう。

 

また一方でポルシェは、現行の第3世代のプラットフォームも、未来に見合うだけのパフォーマンスを伸ばしていくべく大幅に進化させ、そこにパワフルなハイブリッド・パワーユニットを搭載したモデルと、これまでの内燃エンジンの絶対性能をも超える強力なハイパースポーツモデルの開発も進めているとした。

 

フル電動モデルのテスト開始と並行して強力な内燃エンジンとHV開発も

 

それぞれの具体的なリリース時期は、搭載エンジン毎に異なるというが、少なくとも2030年を待つ事なく新たなモデルが投入されるとした。つまり、第4世代のポルシェ カイエン含む未来のカイエンは、3種類のパワートレインを搭載するクルマとして生まれ変わるというのだ。

 

この取り組みについてポルシェAGでCEOを務めるオリバー・ブルーメ氏は、「今後のカイエンは、過去のサクセスストーリーを継承しつつ、歴代モデルに装備されて、好評を得てきたて機能の全てをて引き継ぎます。

 

 

ここで一旦、過去を振り返ってみるとカイエンは常に、SUVセグメントに於いて、過去には考えられてこなかった全く新しいスポーツカー像を定義づけてきました。それが今度は、来るべき2025年以降にピュア・エレクトリックSUVとなり、新たな未来のSUVのスタンダードになる時代が早晩やってきます。

 

併せて遅くとも数年先には、第3世代のカイエンも大幅に改良を施し、パワフルで効率的な内燃エンジンを搭載した次世代カイエンが登場し、加えてこれにハイブリッドパワーユニットを搭載したモデルも追加されていく予定です。

 

新型カイエンは、まだ見ぬ未来のSUVの姿をゼロから定義付ける存在に

 

つまり昨年、ポルシェ史上最大規模のアップグレードが行われた現行カイエンは、今後、多額の技術投資によって更に開発が進められる予定なのです。

 

もちろん搭載が予定されているパワーユニットはポルシェが独自で開発し、ツッフェンハウゼンのエンジン工場で製造しているV8エンジンも更なる効率向上が図られます。このツインターボエンジンには、将来の法規制にも対応できるよう、広範な技術的対策も施されます。

 

我々ポルシェは、現時点では誰もがステアリングを握ったことのない次世代を担う未来のエレクトロモビリティづくりに積極的に取り組んでいるのです。

 

 

現に私たちが敷く製品戦略上では、顧客の需要や世界の各地域に於けるエレクトロモビリティの普及に応じて、来たる2030年頃までには、我々の車種ラインナップも80%以上をフル電動化することになるでしょう。

 

従って今日のベストセラーモデルであるカイエンの第4世代化は、完全な新規開発モデルとして、未来のエレクトロモビリティの姿をゼロから再定義する存在となります」と述べた。

 

世界中の過酷なテスト走行を完遂しなければ次世代車として認められない

 

また上記のように語ったオリバー・ブルーメCEOの言葉を受けて、ポルシェAGで研究開発担当役員を務めるミヒャエル・シュタイナー氏は、「このフル電動化されたラグジュアリーSUVは、800Vアーキテクチャを採用したプレミアムプラットフォームエレクトリック(PPE)技術を用いて、より高電圧なベースシステム、パワートレイン、シャシーなど、未来の最先端技術を統合して仕立て上げることになります。

 

これによって私達は、電動車の可能性をこれまで以上に大きく拡張させ、これまでのカイエンを知っているドライバーの想定を超えるクルマとして、絶対性能自体を全く新しい次元へと引き上げることになります。

 

その開発目標として、ポルシェの特徴である独特の走行特性を維持し続けることが最も重要です。またこれに加え、大容量で安定した充電性能、そして高いレベルの快適性と、日常的な使い易さの確保が、具体的な開発目標として掲げられています。

 

 

実は、そんな開発過程に於ける現在の進捗スケジュールは、デジタル上での開発工程と各搭載ハードウエアのテスト工程を既に潜り抜け、更にはヴァイザッハにある開発センターのテストコース上での最初のテスト走行もクリア。現段階は、カモフラージュされたフル電動カイエン初のプロトタイプが、ポルシェの工場を後にして、世界に飛び出しています。

 

つまり過酷な実走行を繰り返すテストが既に始まっているのです。これは我々の開発プロセスに於ける最も重要なマイルストーンのひとつです。実際のリリース日を想定できる段階に至る状況になるまで、走り始めたプロトタイプ車は、気候や地形の極めて厳しい条件を走り抜けることを求められ続け、世界規模で数百万キロにも及ぶテスト走行の完遂を義務づけられます。

 

このようにして、我々ポルシェ開発陣が決めた高い品質基準に従って、ハードウェア、ソフトウェア、そして車両の全ての機能と耐久性、信頼性を達成することがなければ、次世代の新型ポルシェ カイエンとして、現在のテスト車両が公にリリースされることは絶対にありません」と話している。

 

 

<顧客からの問い合わせ先>
ポルシェ コンタクト 0120-846-911 / HP: https://www.porsche.com/japan/

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。