今後10年間を視野に、3種類の新世代カイエンのパワートレインを計画中
伝統の911を筆頭とするピュア・スポーツカーづくりに拘り続けてきたポルシェが、ブランド初のSUVの開発を手掛けたのは20世紀末のこと。その後の2002年、満を持して投入したのがスポーツSUVのカイエンだった。
同車は、登場以降20年以上に亘り、真のポルシェであることを疑う余地のないタフな走行性能を持ちながらも、日常生活の上でも優れた快適性を持ち、更にオフロードでに於いても優れた走破性を発揮するなど、そのフィールド対応力の広さと高さで一定の評価を得てきた。
しかし、そんなポルシェ カイエンも、いよいよ第4世代の開発に着手する段階に入っている。そんな次なるカイエンはフル電動モデルとなるという。しかも既にカモフラージュされたプロトタイプ車両を用いた過酷なテストプログラムが進行中だともいう。
また一方でポルシェは、現行の第3世代のプラットフォームも、未来に見合うだけのパフォーマンスを伸ばしていくべく大幅に進化させ、そこにパワフルなハイブリッド・パワーユニットを搭載したモデルと、これまでの内燃エンジンの絶対性能をも超える強力なハイパースポーツモデルの開発も進めているとした。
フル電動モデルのテスト開始と並行して強力な内燃エンジンとHV開発も
それぞれの具体的なリリース時期は、搭載エンジン毎に異なるというが、少なくとも2030年を待つ事なく新たなモデルが投入されるとした。つまり、第4世代のポルシェ カイエン含む未来のカイエンは、3種類のパワートレインを搭載するクルマとして生まれ変わるというのだ。
この取り組みについてポルシェAGでCEOを務めるオリバー・ブルーメ氏は、「今後のカイエンは、過去のサクセスストーリーを継承しつつ、歴代モデルに装備されて、好評を得てきたて機能の全てをて引き継ぎます。
ここで一旦、過去を振り返ってみるとカイエンは常に、SUVセグメントに於いて、過去には考えられてこなかった全く新しいスポーツカー像を定義づけてきました。それが今度は、来るべき2025年以降にピュア・エレクトリックSUVとなり、新たな未来のSUVのスタンダードになる時代が早晩やってきます。
併せて遅くとも数年先には、第3世代のカイエンも大幅に改良を施し、パワフルで効率的な内燃エンジンを搭載した次世代カイエンが登場し、加えてこれにハイブリッドパワーユニットを搭載したモデルも追加されていく予定です。
新型カイエンは、まだ見ぬ未来のSUVの姿をゼロから定義付ける存在に
つまり昨年、ポルシェ史上最大規模のアップグレードが行われた現行カイエンは、今後、多額の技術投資によって更に開発が進められる予定なのです。
もちろん搭載が予定されているパワーユニットはポルシェが独自で開発し、ツッフェンハウゼンのエンジン工場で製造しているV8エンジンも更なる効率向上が図られます。このツインターボエンジンには、将来の法規制にも対応できるよう、広範な技術的対策も施されます。
我々ポルシェは、現時点では誰もがステアリングを握ったことのない次世代を担う未来のエレクトロモビリティづくりに積極的に取り組んでいるのです。
現に私たちが敷く製品戦略上では、顧客の需要や世界の各地域に於けるエレクトロモビリティの普及に応じて、来たる2030年頃までには、我々の車種ラインナップも80%以上をフル電動化することになるでしょう。
従って今日のベストセラーモデルであるカイエンの第4世代化は、完全な新規開発モデルとして、未来のエレクトロモビリティの姿をゼロから再定義する存在となります」と述べた。
世界中の過酷なテスト走行を完遂しなければ次世代車として認められない
また上記のように語ったオリバー・ブルーメCEOの言葉を受けて、ポルシェAGで研究開発担当役員を務めるミヒャエル・シュタイナー氏は、「このフル電動化されたラグジュアリーSUVは、800Vアーキテクチャを採用したプレミアムプラットフォームエレクトリック(PPE)技術を用いて、より高電圧なベースシステム、パワートレイン、シャシーなど、未来の最先端技術を統合して仕立て上げることになります。
これによって私達は、電動車の可能性をこれまで以上に大きく拡張させ、これまでのカイエンを知っているドライバーの想定を超えるクルマとして、絶対性能自体を全く新しい次元へと引き上げることになります。
その開発目標として、ポルシェの特徴である独特の走行特性を維持し続けることが最も重要です。またこれに加え、大容量で安定した充電性能、そして高いレベルの快適性と、日常的な使い易さの確保が、具体的な開発目標として掲げられています。
実は、そんな開発過程に於ける現在の進捗スケジュールは、デジタル上での開発工程と各搭載ハードウエアのテスト工程を既に潜り抜け、更にはヴァイザッハにある開発センターのテストコース上での最初のテスト走行もクリア。現段階は、カモフラージュされたフル電動カイエン初のプロトタイプが、ポルシェの工場を後にして、世界に飛び出しています。
つまり過酷な実走行を繰り返すテストが既に始まっているのです。これは我々の開発プロセスに於ける最も重要なマイルストーンのひとつです。実際のリリース日を想定できる段階に至る状況になるまで、走り始めたプロトタイプ車は、気候や地形の極めて厳しい条件を走り抜けることを求められ続け、世界規模で数百万キロにも及ぶテスト走行の完遂を義務づけられます。
このようにして、我々ポルシェ開発陣が決めた高い品質基準に従って、ハードウェア、ソフトウェア、そして車両の全ての機能と耐久性、信頼性を達成することがなければ、次世代の新型ポルシェ カイエンとして、現在のテスト車両が公にリリースされることは絶対にありません」と話している。
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