NEXT MOBILITY

MENU

2023年6月21日【新型車】

プジョー408発表。アンバサダーに森山未來氏を起用

坂上 賢治

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 

ステランティス(Stellantis)ジャパンは6月20日、PEUGEOT(プジョー)ブランドに於いて、既存のカーデザインの枠を破るファストバックとクロスオーバーを融合させた新型モデル「PEUGEOT 408 (プジョー ヨンマルハチ)」を発表。7月1日(土)より、全国のプジョー正規ディーラーで発売する。

 

また408の発表を記念して、車両プロモーションのアンバサダーに俳優でダンサーの森山未來氏を起用。併せて、初回で販売数限定の特別仕様車「First Edition(ファースト・エディション)」も発売する。希望小売価格(消費税込)は、408が429万円から。また、ファースト・エディションは669万円。

 

 

 

この408の最大の特徴はプジョーブランドとしての新たなスタイリングで、事実上、国内外で競合を持たない“ファストバック”と“クロスオーバー”を融合させた意欲的なスタイリングを採用した点にあるだろう。

 

 

まず気になるボディサイズは全長4700×全幅1850×全高1500mm、ホイールベースは2790mm、最低地上高は170mm。立体駐車場の利用など都市生活に於けるストレスを低減させる骨格サイズに留意した。

 

エクステリア・デザインについては、〝解き放たれた新種〟というキーワードの下、車体前面中央にライオンエンブレムを配した大型フレームレスグリルを採用。

 

なかでもGTグレードでは、精緻なボディ同色グリッドデザインとしてダイナミックな印象を高めると共に走行状況に応じて自動で照射をコントロールする薄型マトリックスLEDヘッドライトを搭載。

 

 

更に先の大型フレームレスグリルから伸びるフロントウィンドウの傾斜等に気遣い、ルーフラインからリアへとなだらかに移るサイドビューを経て、その流れをフィニッシュ部分のエアロスタイルで纏め上げた格好だ。

 

光の演出では、プジョーのアイデンティティともいえるライオンの牙をモチーフにしたLEDデイタイムランニングライト、同じくライオンの爪をモチーフにした3本LEDランプを配した。

 

ボディサイド廻りでは、光の反射で色彩が微妙に変化する彫の深いプレスラインを入れるなど凝った作りを演出。同社広報によると美しさだけでなく、エアロダイナミクス性も緻密に計算した形状だとステランティスでは語っている。

 

 

また足下には、19インチアロイホイールを全モデルに装備するなどして、ここでもライオンの持つ力強さを表現している。

 

結果、セダン・ステーションワゴン・SUVの特性を同時に併せ持たせるものとし、セグメントやカテゴリーを越えた個性を放つモデルとして、室内の前後長を充分上に確保する等、普段使いに於ける実用性も兼ね備えたものになっている。

 

 

インテリアは、内装の表皮や質感の組み合わせに拘ったクールなブラック基調。プジョーブランドらしい、いつもの小径ステアリングは、操舵の軽快と共に細やかなハンドリングが実感できるチューニングを施した。ドライバーの前面視野に入るメインパネルは、サイバー感と表示映像の美しさを重ね合わせた3D表示となっている。

 

インストルメントパネル中央には、滑らかな液晶表示で走行中のドライビング情報を統合して示す。なおGTグレードには10インチのフラット感の高いタッチスクリーン下部にデジタルショートカット機能「i-Toggle(トグル)」を組み合わせた。

 

そこからドライバーを取り囲むセンターコンソールと一体化したレイアウトの「Peugeot i-Cockpit」、インフォテイメントシステムには最新の「Peugeot i-Connect」が配置される。

 

 

運転支援機能では、前方の車両との距離と速度を検知。ドライバーのアクセルとブレーキをサポートするアクティブクルーズコントロール(ストップ&ゴー機能付き)を備え、右寄りや左寄りなどドライバー任意の位置で車線内のポジションを維持するレーンポジショニングアシストも搭載した。

 

加えて駐車や出庫、狭い路地の走行時に安全をサポートする360°ビジョン(フロントサイドカメラ付)も搭載し、シーンを問わず運転操作をサポートする。

 

またラゲッジ面で大事な実用性では5名乗車時で最大536L、後席を倒すと最大1611Lの容量を実現。いかも凹凸の少ない形状とするなど、実際の使い勝手に優れる形状としてオーナードライバーの満足度向上に配慮した。

 

搭載されるパワートレーンはガソリンモデルとPHEV(プラグインハイブリッド)の2種。まずガソリンエンジンを搭載したモデルは、ステランティス製として信頼の最高出力96kW(130PS)5500rpm、最大トルク230Nmの直列3気筒DOHC 1.2リッターターボエンジンに8速ATを組み合わせる。

 

 

直列3気筒DOHC 1.2リッターは、プジョー車の定番搭載エンジンとして伸びやかな特性が同社としては自慢のユニットで、低速時のトルク発生値を高めつつ、いざという場面でエンジン出力を高めたい際のストレス性も軽減させた、いわば〝回す愉しさ〟も得られる欧州では定番のエンジンである。

 

一方でPHEVは、WLTCモードで66kmのEV走行レンジを持ち、6kWチャージャーを使用すると約2時間30分で満充電が可能としている。

 

電動ユニットと組み合わせるエンジンユニットは、直列4気筒DOHC 1.6リッターターボで、最高出力は132kW(180PS)/6000rpm、最大トルクは250Nm/1750rpm。システム合計出力は225PS/360Nmで、ハイブリッド燃料消費率は17.1km/Lとなっている。

 

 

なお車両販売の開始に先行して行われた当該車両の試乗機会に於いて、特に4気筒ガソリンエンジンにハイブリッドシステムを組み合わせた408GTハイブリッドは、先の車両説明にある通り、モーターとエンジンを統合したトルク値が360Nmと大きいので、スロットル操作に忠実なパワフルな走りが愉しめた。

 

また市街に於いてステアリング操舵を加えた際の回頭性も素早く、その時の姿勢変化は、プジョー独自のサスペンションチューニングにより抑えられている。従って敢えてステアリングを素早く、また大きく切り返しても、常にドライバーの意志に忠実な手応えが伝わる。

 

それとプジョー車としては、いつもの話であるのだが、シートの設えとホールド感も美点のひとつだ。同車の場合も前席のシート幅・長さ共にたっぷりした印象でありながら当該モデルグレードに相応しいタイト感が維持されている。

 

加えて408の場合、同じ基本プラットフォーム(EMP2プラットフォーム)を持つシトロエンC5 Xよりもホイールベース長が長く、これがリアシート居住スペースに反映されているところには嬉しい意外感がある。

 

それゆえ大きく傾斜したルーフラインを潜って、センターアームレストを備えたリアシートに、ひとたび着座してしまえば前後方向の余裕が、望外とも思える空間の余裕を与えてくれる。

 

ちなみに408GTハイブリッドの場合、その室内のシート素材が、人口皮革のテップレザーとアルカンターラの組み合わせとなっており、こうした組み合わせはインストルメントパネルなど室内空間全域に及ぶ。こうしたドイツ車とは異なるお洒落感は車両価格で600万円台となるフランス車、プジョー408GTハイブリッドならではの拘りの一環と言えるだろう。

 

最後にステランティス・ジャパンでは、ターゲットユーザーとして据える一部対象に、〝自動車に興味を持たない層もカバーしたい〟と意欲ある姿勢を見せており、そうした意味から従来のクルマのセグメントやカテゴリーを越えた個性が重なる存在で、ダンスや俳優、演劇、映像などカテゴリーに縛られない表現者の森山未來氏をアンバサダーに起用。今後6ヶ月間、森山氏とのスペシャルムービーなど、様々なコラボレーション企画を予定しているという。

 

 

[408の主な特徴]

<エクステリア>

・センターにライオンエンブレムを配した大型フレームレスグリルを採用。GTグレードでは、精緻なボディ同色グリッドデザインにより、ダイナミックな印象を強調。

 

・走行状況に応じて自動で照射をコントロールする、先進の薄型マトリックスLEDヘッドライトを搭載。

 

・フロントに、プジョーのアイデンティティとも言えるライオンの牙をモチーフにしたLEDデイタイムランニングライトを、リアにはライオンの爪をイメージした鋭い3本LEDランプを採用し、ブランドの世界観を演出。

 

・全モデル19インチの造形的な大径アロイホイールを装備し、ライオンのもつ力強さを表現。

 

・ボディカラーには、「オブセッション・ブルー」、「パール・ホワイト」、「エリクサー・レッド」、「ぺルラ・ネラ・ブラック」の4色を設定。

 

 

<インテリア>

・ブラックを基調としたシックなデザインに多くの革新的な機能が組み込まれたインテリア。

 

・軽快なハンドリングを実現する小径ステアリングや、様々なドライビング情報を統合表示し、スマートフォンのように滑らかな操作を可能にする10インチタッチスクリーンなど、ドライバーを取り囲むセンターコンソールと一体化したレイアウトの「Peugeot i-Cockpit(プジョー・アイ・コックピット)」を採用。

 

・先進運転支援システムおよび最新のインフォテイメントシステム「Peugeot i-Connect(プジョー・アイ・コネクト)」を搭載。

 

・GTグレードでは、10インチタッチスクリーン下部にデジタルショートカット機能、i-Toggle(トグル)を組み合わせ、よりシームレスな操作が可能。

 

・5名乗車時で最大536L、後席を倒すことで最大1611Lの荷室容量を確保した、凹凸の少ない形状で使い勝手の良いラゲッジルーム。

 

 

<運転支援機能>

・前方の車両との距離と速度を検知しつつ、ドライバーのアクセルとブレーキ操作をサポートする、アクティブクルーズコントロール(ストップ&ゴー機能付き)を装備。右寄りや左寄りなど、ドライバー任意の位置で車線内のポジションを維持するレーンポジショニングアシスト機能も搭載し、ロングドライブをサポート。

 

・駐車や出庫、狭い路地の走行時に安全をサポートする360°ビジョン(フロント サイドカメラ付)を装備し、あらゆるシーンにおいて運転操作を容易にする。

 

 

<パワートレイン>

・130ps/250Nm の1.2L直列3気筒エンジン+8段ATのトランスミッションで軽快な加速が可能なガソリン車と、WLTCモードで66kmのEV走行レンジを持ち、日常の多くのシーンをEV走行でカバーできる。

 

・PHEVは最高出力132kW(180PS)/6000rpm、最大トルク250Nm/1750rpmの直列4気筒DOHC 1.6リッターターボに電動ユニットを組み合わせ、システム合計出力225PS/360Nm。ハイブリッド燃料消費率は17.1km/L。WLTCモードで66kmのEV走行レンジを持ち、6kWチャージャーを使用すると約2時間30分で満充電が可能としている。

 

[特別仕様車の特徴]

特別仕様車のファースト・エディションは、“408 GT HYBRID”をベースに、ブラック・ナッパレザーシートとパノラミックサンルーフ(メッシュシェード付)、フォーカル製HiFiオーディオの3点を特別装備。ボディカラーは、オブセッション・ブルー1色となる。

 

[メーカー希望小売価格](消費税込)

– PEUGEOT 408 Allure(受注生産):4,290,000円
– PEUGEOT 408 GT:4,990,000円
– PEUGEOT 408 GT HYBRID:6,290,000円
– PEUGEOT 408 GT HYBRID First Edition(限定80台):6,690,000円

※詳細については、PEUGEOT 408の商品サイト  特設サイト にて確認されたい。

 

 

CLOSE

坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。