ポール・スミス リミテッドは8月13日、カスタムメイド車両 “MINI STRIP”が8月12日にロンドンで世界初披露されたことを発表した。
この1台限りのカスタムメイド車両は、2020年11月に発表されたMINIとポール・スミスとのコラボレーションにより、この数ヶ月間、サステナブルデザインに関するクリエイティブアイデアを共有しながら製作が進められてきた。
自動車メーカーが直面する持続可能性の問題に対して、「Simplicity, Transparency, Sustainability(シンプルさ、透明性、持続可能性)」という包括的なテーマの元、MINI Cooper SEをベースに、ポール・スミスが絶対に必要だと考える要素のみを定義し、実装し、配置している。
共同開発のプロセスでは、最大限の削減という原則を適用。エクステリアデザインでは、素材感を大切にしているため、ボディはカラー塗装を施さず、腐食防止のための透明な薄いフィルムを貼っただけの未完成の状態になっている。
亜鉛メッキ鋼板には、工場での研削痕をあえてそのまま残しており、この車両が機能的な製品、そして日常生活に欠かせない頑丈なパートナーであることを示している。この意図的な粗仕上げの手法は、ポール・スミス曰く「完璧な不完全さ」だという。
MINI特有のブラック・ベルトの一部は再生プラスチックから3Dプリントされており、メタルパネルのようにありのままの素材感がむき出しになっている。また、外観から見えるアドオンパーツのボルトは、解体が簡単で、耐用年数が過ぎた後も原材料としてリサイクルできるようになっていることを表わしており、自転車愛好家でロードバイクの各パーツを自分で交換したり改造したりすることも楽しむポール・スミスからインスピレーションを得ている。
MINI STRIPの「Simplicity and Transparency(シンプルさと透明性)」というモットーは、大幅に削減されたインテリアにも生かされている。ダッシュボード、トッパー・パッド、リヤ・シェルフを除くすべてのトリム・パーツが意図的に省かれており、ボディ・シェルがキャビンの主要な視覚的特徴となっている。また、ポールたっての希望のブルーのカラーリングは、一際目を引く効果を発揮する。
また、インテリアのミニマルな幾何学的デザインと平行して、MINI STRIPは環境に優しいリサイクル素材を使用しており、車両そのものがサステナビリティへの取り組みを実証する。インテリアにはレザーやクロームが一切使用されておらず、シートはニット・テキスタイルが張られている。
シート・カバーは完全な単一素材で構成されているため、パイピングも含めて完全にリサイクル可能で、材料の循環性を確保。ダッシュボードのトッパー・パッド、ドア・パネル、リヤ・シェルフも、非常にシンプルな形状で、再生コルクを使用している。
MINI STRIPに組み込まれたすべてのディテールは「フォルムは機能に従う」という考えに基づいている。シンプルさ、透明性、持続可能性がデザインプロセスの中心テーマとなり、車両のあらゆる側面に反映された。またMINIの信条である”Creative Use of Space(クリエイティブな空間の使用)”を、MINI STRIPは、特にインテリアの抜本的かつ根本的なリデザインに反映させている。
MINIデザイン本部長のオリバー・ハイルマーは「私にとってMINI STRIPは、MINIとポール・スミスが共に未来について、イノベーションとデザインの観点から大胆な考え方を持っていることを見事に表しています。そして今後もより多くのものを一緒に創造していきたいと思います。
またポール・スミスは、自動車業界外からの新鮮な視点で、デザインプロセスの最初の段階から本質的な質問をしてきました。私たちは、このような強固なキャラクターステートメントを一緒に開発できたことを誇りに思います」と語った。