通信機器等のメーカーである沖電気工業(以下、OKI)は、5月22日、NTTドコモと共同で、時速160kmの高速走行中の車両で広域エリアの映像モニタリングが可能なシステム「フライングビュー」のフィールド実験に成功したと発表した。
高速走行中の車両からの映像モニタリングを、全周囲かつ自由視点の広域エリアで行うことを可能としたこのシステムは、5G(第5世代移動通信方式)での展開を見据えて同社が開発したもの。
来るべき5Gの普及で期待されていることのひとつが、移動体からの大容量かつリアルタイムな映像配信。走行車両から送られた映像を集めることで、移動体での監視や情報収集などができる等さまざまな用途への活用が可能となる。
同社は、この点に着目し、用途の1つとしてモータースポーツの新しい観戦スタイルの実現を想定。ドコモの協力のもと、実際のサーキットを高速走行する車両への「フライングビュー」の可用性を今回の実験で確認した。
実験は2018年2月8日、富士スピードウェイにおいて行い、OKIは「フライングビュー」を、ドコモは車両と実験環境を用意し、当システムを搭載した車両を時速約160kmで走行させ、「フライングビュー」の映像取得が可能なことを検証した。
同社では、 今後もフィールドでの実証実験を重ねることで、5Gやコネクテッドカー社会の進展に向けた、フライングビュー映像の遠隔地モニタリングの展開に幅広く取り組んでいく予定だ。
<映像モニタリングシステム「フライングビュー」の概要>
・映像入力
カメラ1台当りの有効画像サイズ1280pixel、720line、30fps(ハイビジョンテレビ相当)の速度(人間の目に見える快適な速度、配信動画のフレームレート)で有効画像を全て取込むことが可能。
・映像合成
前後左右などの4台の魚眼カメラの映像をそれぞれ歪み補正し、カメラ映像を合成して仮想カメラ視点位置から見た俯瞰映像を生成。
・自車両モデルの描画
自車両モデルの3D描画を行い、仮想カメラ視点位置から見た車両の映像を生成。
・映像出力
HDMI(注4)インターフェースで有効画像サイズ1920pixel、1080line、60fps(フルハイビジョンテレビ相当)の速度(近年のゲーム機程度)で出力。