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2018年5月1日【アフター市場】

遠州鉄道、地域自販を担う静岡トヨタ自動車の全株式を取得

坂上 賢治

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遠州地域の鉄道網並びに広域で輸送事業を行う遠州鉄道株式会社(本社:浜松市中区旭町、社長:斉藤 薫)は5月1日、自動車販売を手掛ける静岡トヨタ自動車(代表取締役社長:川嶋 秀樹)の全株式をトヨタ自動車(代表取締役社長:豊田 章男)から取得すると発表した。( 坂上 賢治 )

 

写真は、遠州鉄道が静岡県西部から安倍川以西で21店舗を展開する販社網のうちの1拠点「ネッツトヨタ浜松店」

 

具体的には、遠州鉄道が同日開催の自社取締役会に於いて、上記決議に至ったもので、トヨタ自動車株式会社の100%子会社である静岡トヨタ自動車株式会社の全株式を取得し、静岡トヨタ自動車及びその100%子会社である静岡トヨタ物流サービス株式会社を自らの連結子会社化する。

 

静岡トヨタの店舗網

 

株式移管となる静岡トヨタ自動車は、県内に41の販売店を保有。2017年の車両販売台数は約9500台。遠州鉄道側からの買収額は50億円であり、株式の譲渡は6月29日に実行される見込み。これは遠州鉄道が行ったM&Aとしては、過去最高額になると見られる。

一方、遠州鉄道も、そもそもネッツトヨタ浜松やトヨタレンタリース浜松など、静岡県西部地域を中心に自動車販売業を運営してきた実績がある。

 

 

しかし昨今の人口減少に伴う自動車販売市場の縮小や、技術革新による新たな競争相手の出現によって、自動車販売業の将来は厳しい状況になると想定され、遠州鉄道としての車販事業は、ここにきて事業見直しを検討する必要性に迫られていた。

 

対して静岡トヨタ自動車を保有してきたトヨタ自動車は、2016年より開始した「J-ReBORN計画」に基づき、国内販売網を従来の「チャネル軸」から「地域軸」主体へと体制・働き方を見直すことで、新たなモビリティサービスの提供を見据えたビジネスモデル変革を進めている。

 

このような状況下で、遠州鉄道が自動車販売事業に於いて、トヨタ自動車が保有している静岡トヨタ自動車を迎え入れることで自動車販売事業が大きく強化される。結果、静岡エリアの販売網を遠州鉄道が統括することになった。

これが車販のチャネル軸を越える事業を生み出す母体となって、電鉄事業を背景とした新たな競争力を持つモビリティビジネスの提供が可能になっていくと遠州鉄道側では見たようだ。( MOTOR CARDSより転載   )

 

なお遠州鉄道が取得を検討する会社の概要は以下の通りとなる。

商号 :静岡トヨタ自動車株式会社
本店所在地: 静岡市駿河区国吉田2丁目3番1号
代表者の役職・氏名 :代表取締役社長 川嶋 秀樹
資本金 :15億円
主な事業内容 :自動車販売業
設立年月日 :1942年11月
従業員数 :725名 (2017年3月現在) ※8時間換算人数
店舗数 :トヨタ店33 レクサス店2 中古車専門店6 (2018年4月現在)

 

取得を検討する会社の100%子会社の概要
商号 :静岡トヨタ物流サービス株式会社
本店所在地 :静岡市駿河区国吉田2丁目3番1号
代表者の役職・氏名 :代表取締役社長 川嶋 秀樹
資本金 :10千万円
主な事業内容 :自動車輸送・整備業
設立年月日 :1967年2月
従業員数 :57名 (2017年3月現在) ※8時間換算人数

 

株式取得の相手先の概要
商号 :トヨタ自動車株式会社
本店所在地 :愛知県豊田市トヨタ町1番地
代表者の役職・氏名 :代表取締役社長 豊田 章男
資本金 :6,354億円
主な事業内容 :自動車生産・販売業
設立年月日 :1937年8月

 

日程(予定)
2018年6月29日 :株式譲渡実行
遠鉄グループ体制にて運営開始

 

遠州鉄道株式会社の概要
商号 :遠州鉄道株式会社
本店所在地 :浜松市中区旭町12番地の1
代表者の役職・氏名 :代表取締役社長 斉藤 薫
資本金 :38億円
主な事業内容 :鉄道事業、バス事業、不動産業、保険代理店業
設立年月日 :1943年11月

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。