尾花沢タクシー(本社:山形県尾花沢市、代表取締役:渡会友補)は10月12日、電脳交通が提供するクラウド型タクシーの配車システム「DS」を導入。同月より新配車システムとしての運行を開始した。
今回、同社が「DS」を導入した背景は、タクシー業界に於けるIT化の遅れや、ドライバーの高齢化による人材不足によって苦境に立っていることがある。
その一方で、山形県では利用顧客側の高齢化も進み、利便性の高い移動手段を求める声が高まっており、ドア・ツー・ドアの公共交通として、そうした期待に応えられていない現状があるという。
そこで尾花沢タクシーは、ドライバー不足の課題を抱えながらも、より利便性の高い移動サービスを提供するべく、予てよりデジタルトランスフォーメーション(DX)を通じた問題解決策を模索してきた。そうしたなか今回導入を決めた電脳交通のクラウド型タクシー配車システムの優位点は以下の4点があるとしている。
・タクシー業界未経験者でも使いこなせる操作性の良い配車システムである。
・クラウド型配車システムによって、最新の機能が常にアップデートされる。
・法改正やトレンドへの拡張性が高く、臨機応変に対応できる。
・近隣事業社との「共同配車」を視野に、他社の配車業務も請け負える。
そもそも尾花沢タクシーは、先の通りタクシー不足の解決策として全国で注目が集まる「共同配車」事業を視野に据えており、実際、近隣のタクシー事業者との協議を精力的に進めている。
この共同配車事業とは、タクシー会社内で配車オペレーション業務を行う「配車室」を複数会社跨って統合。これにより配車先にタクシー車両を素早く急行させるもの。
結果、顧客側で「タクシーが捕まるまで1社1社に電話する」という手間がなくなり、1度の電話で、参画する全てのタクシー会社に対して配車リクエストが可能になる。
こうした新しい配車システム導入により、尾花沢タクシーは、タクシー業務をデジタルトランスフォーメーション(DX)化。地域の公共交通の持続を目指し、近隣の事業者と協力する体制構築に動きたいと話している。
そんな取り組みが目下、加速化できていることに尾花沢タクシーの渡会友補社長は、「数年前から考えていた電脳交通のシステムを、ようやく導入することができました。
その導入理由は、いつまでもアナログな体制下で業務を処理していては、サービス品質の向上が難しいと感じていたことにあります。
また、地方では休みの日や夜間帯に電話の鳴る回数が少なくなるにも関わらず、常時1名以上の窓口要員を配置しなければならず、そうしたコストが業績を圧迫します。
そこで他社と電話対応をまとめられたら助かると考えいたところ、電脳交通のシステムに出会い、それが切っ掛けとなって昨年、中小企業庁の第七回事業再構築補助金に採択されたことで本格導入に至りました。
但し社内で高齢なドライバーが多いことから、新しいシステムに対応できないのではないかと不安していた面もありました。しかし実際には、数日で操作に慣れ円滑に動き出し一安心しています。
今後は、県内の多くのタクシー会社を募った共同配車体制を構築し、その分でドライバー1人当たりの所得の向上や、働きやすい環境整備に力を注ぎたいと思っています」と話している。
一方、電脳交通の近藤洋祐CEOのは、「この度、尾花沢市の地域交通を支える尾花沢タクシー様に当社システムを導入頂けることになりました。当社システムにより、タクシー業界の最新トレンドに対応する配車環境を構築することが可能になるものと喜んでおります。
渡会社長という若きリーダーが支える尾花沢タクシーが、推し進める共同配車プロジェクトを介して、タクシー業界の未来へとつながる施策を実現させていきたいと考えております」と話している。