日産自動車は9月16日、新型フェアレディZのプロトタイプモデル「フェアレディZプロトタイプ」を、日産パビリオンで開催したオンラインイベントで公開した。
フェアレディZプロトタイプは、50年に及ぶ歴史を持つ「フェアレディZ」の伝統と現代的な雰囲気を組み合わせた新しいスポーツカー。内外装のデザインを一新するとともに、V6ツインターボエンジンとマニュアルトランスミッションを組み合わせたパワートレインを搭載している。
発表に際して、日産の社長兼CEOの内田誠氏は、以下のように話している。
「ピュアスポーツカーのZは、日産のスピリットそのものです。そして今取り組んでいる事業構造改革ニッサンネクストの、とても重要なモデルでもあります。ニッサンネクストは、AからZ、つまり他がやらぬことをやる、私たちの姿勢を表しています。Zのファンである私が、今日、この「フェアレディZプロトタイプ」を発表できることを誇りに思います」。
■エクステリア
フェアレディZプロトタイプのエクステリアデザインについて、グローバルデザイン担当専務執行役員のアルフォンソ=アルバイサ氏は、以下のように話している。
「レトロモダンなテーマと、フューチャリズムを組み合わせることは我々にとっての挑戦でした。デザイナー達は、歴代のモデルを振り返り、数えきれないほどのスケッチを描き、多くの議論を重ね、この『フェアレディZプロトタイプ』にたどり着きました」。
日本のデザインチームは、その外観をデザインするにあたり、初代S30型のシルエットやフロント&リアのアイコニックなモチーフを継承。また、歴代Zの黄色を、ソリッドパールの光と影のコントラストで表現し、この鮮やかでメリハリのある黄色にブラックルーフを組合せたツートンカラーとすることで、未来的な印象を与えた。
さらに、S30型のデザインを彷彿とさせフードのバルジ形状や、LEDヘッドランプのティアドロップ形状、四角いジオメトリックなグリル開口などで、歴代Zの持つアイコンを継承。グリル内側の楕円形のフィンにリアコンビなどにも使われる統一グラフィックを採用し、Z独自の世界観を印象づけるだけではなく、スポーティーさとエレガントさを表現した。
前出のアルバイサ氏は、以下のように話している。
「LEDヘッドライトにある2つの半円のデザインは、1970年代に販売された240ZGをイメージしています。240ZGはヘッドライトのドーム型レンズによって円状のリフレクションを作り出すデザインを採用していました。我々はそのユニークな特徴と、そのZらしさを大事にし『フェアレディZ プロトタイプ』に反映しました」。
サイドシルエットは、長いノーズから続くルーフラインの先に垂直に切り立つテールエンドと、フロントフェンダーよりもわずかに低く、なだらかに傾斜するリアのデザインによって、S30型がもつ特徴的なサイドシルエットを表現。
リアのデザインは、S30やZ32などいくつかの歴代Zが持つテールランプからインスピレーションを得たデザインテーマを現代風にアレンジ。テールランプには、レイヤー形状に光る先進的な演出を施した。
また他にも、カーボンで成型されたサイドシルやリアバンパー、フロントバンパー下のチンスポイラー、19インチアルミホイール、左右に配されたマフラーなど、パフォーマンスの高さを感じさせるパーツを随所に採用した。
■インテリア
スポーツカーとしてのドライビングを楽しむためにデザインされたコックピットは、プロのレーシングドライバーと共に理想的なメーターデザインや室内空間の在り方を検討。オーセンティックさと最新の技術を融合させたデザインとなっている。
それを最も特徴づける、12.3インチのフルデジタルメーターディスプレイは、エンジン回転計の針が真上を示すと同時に、シフトアップインジケーターが点滅しドライバーにシフトアップを促し、スポーツドライビングをアシスト。またクルマの状態を示す他の計器類も、一目でクルマが最適な状態であることがわかるようデザイン。
ステアリングは、Z専用に新たにデザイン。ディープコーン形状で、操作性のよいグリップ形状や視認性良くまとまったスイッチ類によってスポーツカーとしての性能を最大限引き出すポテンシャルを兼ね備えている。
また、インストルメントパネルの各所には、ボディカラーに合わせた黄色いステッチを施し、シート中央部にはグラデーション加工された黄色いストライプ模様をデザイン。エモーショナルで立体感のあるスポーティーなインテリアを演出した。
■スポーツカーを操る楽しさを提供
フェアレディZプロトタイプのチーフプロダクトスペシャリストである田村宏志氏は、フェアレディZについて、以下のように話している。
「Zはいつの時代もスポーツカーを操る楽しさを提供する“ダイナミックパフォーマー”です。お客さまがクルマとの一体感を感じながら、その高い性能を楽しむことができる。これはどの世代のZにも共通するものであり、我々の情熱と挑戦の証なのです」。
日産は、フェアレディZにその時代をリードするパワフルなエンジンを与えてきた。それは、フェアレディZプロトタイプでも例外ではなく、シャープで長いボンネットの下には、6速のマニュアルトランスミッションが組み合わされたV6ツインターボエンジンを搭載している。
この新しいZは、発売に向けて、現在、開発が進められている。
CEOの内田氏は、「今年の夏に発表した最新のEVである『アリア』は、最先端の電動化、運転支援技術を搭載し、これまでになかった全く新しいドライビングを提供します。そして、革新の伝統を受け継ぐZは、ドライバーが主役の、ピュアスポーツカーとして、世に送り出します。Zは、私たち日産のDNA、情熱そのものです」と語っている。
[主要諸元(※)]
– エンジン:V-6 ツインターボ
– トランスミッション:6速マニュアル
– 全長:4,382 mm
– 全幅:1,850 mm
– 全高:1,310 mm
– ホイール/タイヤ寸法
前:255/40R19
後:285/35R19
※仕様は「フェアレディZ プロトタイプ」のものであり、詳細は生産モデルと異なる。
■(日産)フェアレディZ プロトタイプ:https://global.nissanstories.com/ja-JP/releases/behind-nissanz-proto