日産自動車が11月12日発表した2020年3月期第2四半期累計(4~9月)の連結業績は、グローバル販売台数が減少したことから営業利益が対前年同期比85%減の大幅な減益となった。下期も経済環境は不透明感が強いと予測し、通期業績見通しを下方修正した。横浜本社で決算発表会見した次期CFO(最高財務責任者)のスティーブン・マー常務執行役員は「第2四半期の3か月の販売活動では、販売台数減による減益を販売費用の改善で相殺し、増益を確保した」と述べ、着実に事業構造改革の成果が出つつあることを強調した。(佃モビリティ総研・松下 次男)
北米のインセンティブ施策、改善に苦戦。収益改善するも営業利益は85%減に
4~9月の6か月間累計の連結業績は売上高が5兆31億円で前年同期比9・6%減、営業利益が316億円、当期純利益が654億円で同73・5%減となった。上期のグローバル販売台数は250万1千台で同6・8%減だ。主要市場の北米、中国の2大市場でそれぞれ6・9%減、0・3減となったほか、欧州でも19・7%減と二けた台の落ち込みとなった。
マー常務執行役員は懸案の北米市場の構造改革について「販売正常化にとりくんでいるため、上期、販売台数が減少したが、収益は着実に上向いている」と成果を強調。新車を相次いで投入する下期から来年度にかけて、さらに収益改善のピッチが高まるとの期待感を示した。中国についても全需の伸びを上回る販売台数を達成し、販売シェアを0・4ポイントアップした。
2019年度通期見通しについては、中国市場の悪化をはじめ、世界的に厳しい販売環境を予想。加えて、ドル、ユーロなどに対し円高を見込み、通期の連結業績見通しを当初見通しから大幅に下方修正した。
通期の連結業績見通しは、売上高10兆6千億円(前期比8・4%減)、営業利益1500億円(同52・9%減)、当期純利益1100億円(同65・5%減)に修正。当初見通しに比べ、売上高で7000億円、営業利益で800億円、当期純利益で600億円それぞれ引き下げた。
下期も経済環境の不透明さが拭えず通期のグローバル販売台数を下方修正へ
通期のグローバル販売台数についても当初計画から30万台引き下げ、524万台の販売計画に下方修正。中国で8・8%、北米で4・2%、欧州で5%、日本で4・9%それぞれ当初見通しから引き下げた。期の事業の儲けを示す営業利益の下方修正についてマー常務執行役員は販売活動の減益をモノづくりの改善で補い、ほぼ当初見通し並みを確保する計画だが、為替で大幅な減益が避けられない見通しだと説明した。
一株当たりの上期の配当金は10円とした。当初、2019年度は一株当たりの配当金を40円にする見通しを発表していた。しかし、業績にあわせて年間の配当金の下方修正が避けられない見通しで、正式な決定は次期の新役員に委ね、決定していくとした。
日産自動車は12月1日付で内田誠社長兼CEO(最高経営責任者)をはじめとした新役員体制を発足させる。リー常務もその段階で新CFOに就任する。このため、今年6月に示した事業構造改革の成果が徐々に出始めていると強調する一方で、さらに踏み込んだリストラ策などの新たな取り組みについては新CEOをはじめとした「次期の役員体制のもとで検討することになる」と述べるにとどめた。