日産の新ロゴ搭載第1号として車台一新、ツインモーター(4WD)も近く投入へ
日産自動車は11月24日、コンパクトカー「ノート」をフルモデルチェンジし12月23日から発売すると発表した。新型ノートは第2世代「e-POWER(イーパワー)」を搭載し、日産の新ロゴ採用の市販車第1号となる。事業構造改革「ニッサン・ネクスト」で掲げる重要な戦略車種の一つだ。(佃モビリティ総研・松下次男)
3代目となる新型ノートは先代モデルと異なりパワートレインは100%モーター駆動で走るイーパワーのみ。7月に公開したクロスオーバーEV(電気自動車)「アリア」と並んで、電動化推進を事業再生の柱に据える。
アシュワニ・グプタCOO(最高執行責任者)は新型ノートを投入するにあたり「電動化による低炭素化を進化させる。進化したイーパワーで走りを極めた」と強調。今後「日本、タイ、インドネシアに続き、イーパワー搭載車を中国、欧州へ投入する」とオンライン発表会で述べた。
これにより2023年度までに電動車を「年間100万台以上に増やし、政界へひろげる」と急ピッチで拡大する戦略を示した。
また、新型ノートは日産のデザイン戦略についても新たな一歩を踏み出した。アリアとデザインの一貫性を持たせ、事業構造改革で打ち出す新型車戦略に連続性を持たせた。星野朝子副社長は第2世代イーパワーとともに、「日産の新ロゴを身に着けた第1号。新たなデザインをまとい、満を持して発売する」と新型ノートの投入についてこう強調した。
ノートは2017年から2019年まで3年連続で国内コンパクトカー販売台数ナンバー1となったが、新型車はガソリン車を設定せず、イーパワー搭載車のみ。これについて星野副社長は「ゼロエミッションの世界に向け、電動化に集中させる。これを必ず成功させたい」と述べ、環境対策を優先する姿勢を見せた。
今回の新型ノートはまず2WD(二輪駆動)を先行発表。これに続き、ツインモーターを搭載した本格的な4WD(四輪駆動車)についても12月中に発表する予定だ。
新型ノートから搭載する第2世代イーパワーはモーター、インバーター、ジェネレーター、バッテリー、エンジンなどの主要コンポーネントをすべて一新。モーターは先代モデルより、トルクを10%、出力を6%向上した。
インバーターも第1世代より40%小型化し、重量を30%軽減化した。これにより加速性能がより力強くなり、燃費向上を実現した。
プラットフォームも新開発の次世代上級小型車向けプラットフォームを採用。システムを一新した第2世代イーパワーとあわせて、上質な走り、効率性を高い次元で両立させたという。
さらに新型ノートにはコンパクトカー初となる運転支援技術「プロパイロット」を搭載。今回のプロパイロットには高速道路での同一車線走行時の運転操作をサポートする機能に、日産初のナビゲーションシステムとの連携機能(ナビリング機能)を加えた。
これにより制限速度の変化に伴う設定速度の切り替えやカーブの大きさに応じた減速を支援し、ドライバーの操作頻度を軽減、安心かつ快適なドライブをサポートする。
静粛性も進化した。発電用エンジンの駆動をできるだけ少なくするとともに、路面状態からロードノイズが大きいと判断した場合、積極的に発電を行う制御システムを世界で初めて開発、採用し、より静粛性を高めた。
デザインは、新世代に移行する日産デザインのキーワード「タイムレス ジャパニーズ フューチャーリズム」を具現化。先進的で、クリーンかつダイナミックなデザインで、コンパクトながらもひときわ際立つ存在感に仕上げたという。フロントグリルには日本の伝統工芸である組子からインスパイヤ―されたパターンをあしらい「日本の風景に溶け込むデザイン」を採用した。
車両価格(消費税込み)は202万9500円から218万6800円。