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2017年12月13日【エネルギー】

日産自動車と東京電力、EVを活用したバーチャルパワープラント実証試験を開始

NEXT MOBILITY編集部

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東京電力ホールディングスと日産自動車は、12月13日から2018年1月末まで、電気自動車(EV)を活用したバーチャルパワープラント(仮想発電所=VPP ※1)実証試験を開始する。

 

日産自動車・ロゴ

 

低炭素化社会の実現にむけた再生可能エネルギーの大量普及が見込まれる中、このエネルギーを安定的かつ有効に活用するために、分散配置された使用者側のリソースを統合制御するVPP構築事業が進められている。

 

VPP構築事業においては、EVについても、系統運用者の指令に従って充放電を制御(※2)可能とすることで、リソースの一つになると期待されている。

 

・EVアグリゲーターのイメージ・

・EVアグリゲーターのイメージ・

 

今回の実証試験には、日産の商用タイプEV「e-NV200」のモニターの東電HD社員30人と「日産リーフ」を所有する日産社員からの応募者15人の計45人が参加。

 

仮想EVアグリゲーターとして東電HDが、ユーザーに系統電力需要の小さい時間帯を情報提供、指定された時間帯に充電を行ったユーザーには充電電力量に応じてインセンティブが支払われる仕組みだ。

 

この実証試験を通じて、「一定規模のEVユーザーがどの程度の比率で充電時間のシフトを実施するか」検証を行うことで、将来EVが大量普及した際の調整力の予測が可能となり、今後のビジネスモデルの評価に重要な指標を得ることができると、両社は考えている。

 

また、この実証試験では、既存のシステムインフラを活用。大がかりなシステムを構築することなくEVを電力系統運用の調整力とするのが最大の特長となっている。

 

具体的には、EVの情報監視・制御に日産のテレマティクスシステム(※3)を、ユーザーインタフェースと情報の収集管理には充電スタンドの検索サービスアプリ EVsmart(※4)をそれぞれ活用。

 

これらはいずれも、現在サービスが提供されているシステムで、実証事業に参加するEVユーザーはスマートフォンにアプリをインストールするだけで、新たな装置やコスト負担なしに実証試験に参加することができると云う。

 

・実証試験の概要・

・実証試験の概要・

 

東電HDは、今後、多様な自動車メーカーの多様な電動車両に対応可能なシステムとなるよう開発を進めていくとコメント。

 

より調整力を高めるために、EVからの放電としてV2H(※5)など、様々な充放電装置に対応可能なシステムの開発も進めていく考えだ。

 

日産は、EVを活用したVPPを創造するため、実証プログラムを通じて電力会社とグローバルに提携し、新しいスマートエネルギー社会に貢献してきたいとしている。

 

なお、本実証試験の評価結果は、資源エネルギー庁の「平成29年度 需要家側エネルギーリソースを活用したバーチャルパワープラント構築実証事業」の一環として報告される予定だ。

 

※1 バーチャルパワープラント:アグリゲーター(電力使用の需要量を制御し、その需要と供給のバランスを保つために、電力会社と使用者の間に立ち、バランスをコントロールする事業者)が使用者側のエネルギーリソース(太陽光発電、蓄電池、EVなど)を統合・最適遠隔制御することで、あたかも一つの発電所(仮想発電所: Virtual Power Plant)のように機能させるもの

 

※2 EVの充放電制御:例えば、太陽光発電の出力が大きく系統電力における余剰電力の発生が見込まれる場合は、余剰が発生する時間帯にEVへ充電し、不足電力の発生が見込まれる場合は、EVへの充電を停止するとともに、家庭へ電力を供給(放電)すること

 

※3 テレマティクスシステム:EVユーザーに提供している車両状態の監視、充電制御をスマホアプリで遠隔制御できるサービス

 

※4 EVsmart:アユダンテ株式会社が提供する充電スポット検索アプリ。EVやPHEVユーザーが長距離・長時間外出するときに、現在地周辺、あるいは目的地付近に存在する充電スポットを簡単に検索できるサービス

 

※5 V2H(Vehicle to Home):EVへの充電に加え、家庭へ電力供給を可能とする装置

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。