日産自動車は5月11日、2020年度第4四半期および通期決算を発表した。
2020年度は、四半期ごとに着実に業績を回復。特に第4四半期の販売台数は第3四半期比で大きく伸長した。また、台あたりの収益を改善しながら販売奨励金や在庫の削減を推進したことで、第4四半期3か月は前年同期に比較し、営業損失が大きく縮小した。
同社によると、これは事業構造改革「Nissan NEXT」の重点項目として掲げた「事業の最適化」と「選択と集中」の種々の取り組みが、この1年を通して着実に進展したことによるものだという。目標を上回る3,500億円以上の固定費削減を実現し、米国の新型「ローグ」、日本の新型「ノート」e-POWERは、それぞれ好調な販売を続けている。
一方、2020年度通期決算においては、世界各国で新型コロナウイルスの感染が拡大したことにより、特に第1四半期3か月の販売台数が大きく減少し、業績に大きな影響を受けた。その後、販売は回復傾向にあるものの、新型コロナウイルス感染拡大による影響に加え、為替変動や半導体の供給不足等を含む外部要因が引き続き収益を圧迫した。
その結果、2020年度通期の連結売上高は7兆8,626億円、連結営業損失は1,507億円となったが、年度当初の通期見通しより大幅に改善している。また、当期純損失は4,487億円となったが、これには構造改革費用613億円を含んでいる。自動車事業のフリーキャッシュフローはマイナス3,910億円。
なお、2021年3月末現在の自動車事業の手元資金は1兆8,961億円で、同事業のネットキャッシュは6,360億円。また、日産は約2.2兆円の未使用のコミットメントラインを確保している。日産は厳しい事業環境を乗り切るための十分な流動性を維持しているとしている。
2020年度第4四半期3か月財務実績
中国合弁会社に持分法を適用した2020年度第4四半期の財務実績は次の通り。
東京証券取引所届出値 -中国合弁会社持分法ベース
2020年度財務実績
中国合弁会社に持分法を適用した2020年度通期の財務実績は次の通り。
東京証券取引所届出値 -中国合弁会社持分法ベース
中国合弁会社を比例連結した会計基準では、2020年度通期の連結営業損失は286億円、売上高営業利益率は-0.3%となり、当期純損失注1は4,487億円となった。
2021年度の業績見通しについて
2021年度の販売台数は、前年比8.6%増の440万台となる見通し。今年度は半導体供給不足や原材料価格の高騰といった大きなビジネスリスクに直面しており、現時点では、リスクを織り込んだ営業利益の見通しをプラスマイナスゼロとし、中国の合弁会社に持分法を適用した2021年度通期予想は下記の通り、東京証券取引所に届け出ている。
東京証券取引所届出値 -中国合弁会社持分法ベース