日産自動車と日産モータースポーツ&カスタマイズ( MMC/本社:神奈川県茅ケ崎市、社長:片桐 隆夫 )は9月28日、Nissan Z( 日本名:フェアレディZ )をベースとしたカスタマー向けのレース車両「Nissan Z GT4」を発表した。( 坂上 賢治 )
車名末尾の「GT4」は、レース出走に於ける参戦カテゴリのひとつ。GT3同様、市販車をベースに開発されたレース車両で競技が行われ、そもそもは2006年にSRO(ステファン・ラテル・オーガニゼイション)がカスタマーレーシング向けに発案されたもの。
GT3規定が世界のGTレースの中心となる中、GT4は当初ドイツ国内のGTレースで採用され、2009年にはオランダGT4選手権がスタート。欧州のアマチュアドライバー向けのシリーズとして徐々に拡大した。
このためGT3が、技術面やそれらに係るコスト等で嵩み、次第にエスカレートしてレース自体がプロフェッショナル化する一方で、参戦のハードルが比較的低かったGT4車両によるレースは今日は拡大傾向にある。従って2010年代後半以降、世界中の多くのスポーツカーメーカーが車両供給を行っている。
今日に於いては、スパ24時間を含むブランパンGTシリーズ(現・GTワールドチャレンジ)や、ニュルブルクリンク24時間、日本のスーパー耐久などに於いても導入が認められるようになって来ている。
実は日本車メーカーでは、トヨタが「GRスープラGT4」を販売していただけであったのだが、今回、日産がNissan Z GT4で新たにこのカテゴリに参入した流れとなっている。
ちなみにGT3車両がFIA公認の「グループGT3」であるのに対し、GT4は現在、主にベルギーの統括団体RACB(ベルギー王立自動車クラブ/ROYAL AUTOMOBILE CLUB BELGIUM)が公認しており、先のSROによるBoP(性能調整)が行われ、性能の均衡化が図られている。
なおNMCのNISMOレーシング事業部が開発した「Nissan Z GT4」は、ベースとなるNissan Zの素性の良さを活かし、走行性能、安全性、耐久性、操作性を高次元でバランスさせたという。
日産&NMCでは、「今年のお月に開催された「富士24時間レース」にテスト参戦した車両をベースに改良を重ね、プロドライバーからジェントルマンドライバーまで、幅広いレベルのドライバーに、総合的に満足して頂けるパフォーマンスを実現しています」と話している。
開発のポイントは、以下の通り。
– ベースのVR30DDTT型エンジンの素性の良さを活かしたエンジンチューニング
– レース用に最適化したシャシーとサスペンション
– レギュレーションの範囲内で最大限の性能向上を図った空力性能
– 居住性、操作性を最適化したコクピット
日産のアシュワニ グプタCOOは、「日産にとってモータースポーツとは、私たちの飽くなき情熱と比類なき専門性を表現するものです。
そして、Zはダイナミックなドライビングとパワートレインでドライバーを魅了するエキサイティングなスポーツカーとしての地位を維持し続けています。
このGT4カテゴリーに対応するZが、50年以上にわたる日産Zの速さの伝説に、新たな一章を刻むことになると確信しています」と述べている。
車両の仕様等の詳細は、11月1日~4日にアメリカで開催される2022 SEMAショーで発表される。なお車両の供給は翌2030年シーズンから開始される予定だ。