日産自動車は、自社の英国内事業について11月24日(英サンダーランド発)、EV生産を大幅強化する追加方策を明らかにした。なお、この発表は2021年に明らかにした長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」に基づくものだ。( 坂上 賢治 )
今後は「EV36Zero(EVエコシステムのハブ拠点構想)」に沿って最大30億ポンド(約5,650億円)を、当地のサンダーランド工場へ投資し〝新型EVの開発〟〝車載バッテリー生産〟また、これらに関わる〝インフラ整備〟を拡充。これを足掛かりに欧州へ投入する全モデルのEV化(電動車へ全面転換)を強力に推し進めていく。
ちなみに英国日産は、同国タインアンドウィア州サンダーランド市に7,000人の従業員を配する大規模な自動車生産工場を抱えており、その事業規模は、同国サプライヤーに至る関連産業の裾野を含めると30,000人の雇用を支えている。
ハイパーアーバン
そのサンダーランド工場への投資の中核となる新型EVの開発では、英・欧州地域で主力製品のクロスオーバー車「次世代キャシュカイ」と「次世代ジューク」をEV化させていくこと。これに加えて第3の現地生産車として「次世代リーフ」を追加する。
なお以上の3つの次期型モデルは、先のジャパンモビリティショー2023で発表された「ハイパーアーバン」「ハイパーパンク」に加え、2021年に発表済みの「NISSAN CHILL-OUT」にインスピレーションを得たものになるとしている。但し、具体的なモデル名や仕様などの詳細は、現段階では明確にされていない。
ハイパーパンク
ただ上記、車種別の投資額に係る内訳には、想定数字があって「次世代キャシュカイ」と「次世代ジューク」の研究開発と生産で最大11.2億ポンド(約2,100億円)。
これを将来的には最大30億ポンドにまで拡大していく姿勢であることが判っている。なお日産側のこれらの投資に対して、英政府も積極姿勢で応える構えを見せており、関連の研究開発費として1,500万ポンド(約30億円)を助成する見込みだ。
また日産側は、先の最大30億ポンドにのぼる独自の投資枠のうち、〝新型EVの開発〟以外の〝車載バッテリー生産〟と〝インフラ整備〟に関して、まずはその足掛かりとして、使用電力の再生可能エネルギー化についての方策を推し進めていくことも判っている。
NISSAN CHILL-OUT
さて、そもそも日産が生産拠点を置くサンダーランド市は、施政方針もあって太陽光発電のマイクロブリッド・プロジェクト施策に積極的であり、拠点近隣に20MWの太陽光発電所を設けていく予定が既に進められている。
今後は、これに日産が自社の風力発電+太陽光発電を組み合わせ、再生可能エネルギー100%化を果たすEV生産拠点の実現を目指すという。
このような政策概要について英国のリシ・スナク首相は、「日産の投資は、英国の自動車産業に対する大きな信頼を示すものであり、既に年間710億ポンド(約13兆円)という巨額の経済効果をもたらしています。
この投資により、サンダーランドは間違いなく、将来EVの技術革新と生産に於ける英国版シリコンバレーとしての地位を確保することになるでしょう。
私たちは、英国を最高のビジネス拠点にすることを、経済計画の中心に据えています。また私たちは、日産のような企業が英国で事業を拡大し、根を張って成長できるよう、そして明るい未来のために正しい長期的な決断を下せるよう、あらゆる面で支援していきます」と述べている。
一方、日産の社長兼CEOの内田 誠は、「本日、サンダーランド工場の従業員に向けて、この計画を発表しましたが、このような未来を見据えたエキサイティングなEVは、カーボンニュートラル達成を目指す当社の計画の中核を成すものです。
また欧州の主力モデルがEVになることは、日産、産業界、そしてお客さまにとって新たな時代への加速を意味します。
我々の〝EV36Zero〟プロジェクトでは、英国最大の自動車工場であるサンダーランド工場を、当社の将来ビジョンの中心に据えています。
従って、当社の英国チームは将来のクルマのデザイン、設計、生産を当地で行い、これがひいては、欧州に於ける日産の完全EV化を牽引していくことになります」と語っている。