トヨタ自動車(以下、トヨタ)は、半導体関連の国際見本市「SEMICON Japan2018」(12月12日~12月14日・東京ビッグサイト)において、同社が研究開発中のSiCパワー半導体を展示。PCUに搭載した実証実験等について紹介した。
展示されたSiCパワー半導体は、SiCダイオード(左)とSiCトランジスタ(右)。
いずれもトヨタ、デンソー、豊田中央研究所が共同で開発したものだ。
SiC(シリコンカーバイト)とは、シリコン (Si) と炭素 (C) で構成される化合物半導体材料のこと。
現在、自動車のHEVやEV等のモーター駆動を制御するPCU(パワーコントロールユニット)等に搭載されるパワー半導体は、シリコン製が主流。
だが、現状でパワー半導体は、車両全体の電力損失の約20%を占めており、パワー半導体の高効率化はHEVの燃費向上やEVの航続距離を伸ばすためには不可欠。
そこで、近年注目されているのがSiCパワー半導体だ。
シリコン製のパワー半導体に比べ、熱に強い等で電力損失が少なく、より高効率化が可能。
また、PCU自体もよりコンパクトにできるため、特にEV等では車体の軽量化=航続距離の伸長も見込めるのだ。
展示ブースには他にも、昇圧コンバーターおよびモーター制御用インバーターに、SiCパワー半導体(トランジスタ、ダイオード)を搭載したPCUも展示。
これは、2015年に同社がカムリに搭載し、豊田市内を中心に行った走行実験で使われたもの。
シリコンパワー半導体を使った従来型PCU(写真左)と比べると、体積が1/5と非常にコンパクトであることが一目で分かる展示内容となっていた。
ブース担当者によれば、最も大きな課題は「コスト面」。
いずれにせよ、急激かつグローバルな自動車電動化の潮流を考慮すると、最も注目すべき素材のひとつであることは間違いない。