東京R&Dパワーソリューションズは、テクノフロンティア2019(4月17日〜4月19日・幕張メッセ)にブース出展し、車載バッテリーの放充電をひとつのモジュールで可能とし、車両を検診車や家庭用電気機器などの電源としても使えるようにする「DCDCコンバータ機能付き双方向車載充電器」の試作品を公開した。
東京R&Dパワーソリューションズは、2019年1月に自動車メーカーや自動車部品メーカーの委託を受け車両開発などを手掛ける東京R&Dと、パワー半導体など電力変換器の開発・製造を手掛けるヘッドスプリングが設立した合弁会社だ。
同社は、主に東京R&Dが持つ自動車開発技術とヘッドスプリングが持つ電力変換技術を活用し、近年注目されているEVやFCVの普及に向け、先進的な車載用電力変換器(インバータやコンバータ、モーター、充電器などの電動パワートレイン)の開発や、開発した電力変換器の評価などを行うことが主な事業内容だ。
その同社が、現在開発中であるのが、今回展示された双方向車載充電器。
主な特徴は、車載バッテリーに電気をためるための車載充電器と、車載バッテリーの電気を家庭用電源などに使えるようACに変換するインバータという、従来別々だった機器をひとつのモジュールにまとめたことだ。
これをEVなどに搭載することで、車両の搭載スペースの簡略化などに貢献。また、将来的にはEVなどの車両を蓄電システムの代わりとして活用することも可能となる。
特に、電力インフラが脆弱な新興国では、例えば農場や牧場などでのポンプや農機具、電灯などの電源が不足傾向にある。そのようなエリアなどで、当モジュールを活用した車両により電気を供給すれば、自動車を「動く電力インフラ」とすることもできるのだ。
また、災害時などで停電した場合に、EVを家庭用電気機器や検診車などの非常用電源に使うこともできるなど、様々な用途での活用が期待できる。
開発中の試作品は、出力3.0kWで、電池側電圧DC144V〜200Vに対応。サイズは245mm(W)✕400mm(D)✕130mm(H)。
同社担当者によると、課題のひとつはさらなるコンパクト化。だが、小型化は一方でモジュール自体のコストを引き上げる恐れもあるため、費用対効果も含めた最適なサイズを探っていくという。
同社では、同試作品のサンプル提供を2019年6月から開始し、協力企業と共に開発を進める予定。また、より出力が大きい6.6kWバージョンの開発も検討中だ。
EVの新しい活用方法に繋がる機能を有するモジュールだけに、今後の動向が気になるところだ。