世界最大級のカスタムカーと関連製品の展示会「TOKYO AUTO SALON 2025」が1月10日~12日の3日間に亘って幕張メッセ(千葉県千葉市美浜区)で開催した。今回で43回目となった同イベントの開催規模は幕張メッセの1~8ホール、北の9~11ホールーの全てを使用。出展社は前回を11社上回る389社、車両では850台以上のカスタマイズカーが並ぶ。そうしたなかで会期初日10日はプレスカンファレンスが実施され、史上初公開となる自動車メーカーの最新鋭モデルも登場した。
そもそも東京オートサロンは、1983年にチューニングカーマガジン「OPTION」誌がカスタムカー文化を世に広めるべく「東京エキサイティングカーショー」として始動したのが始まり。1987年の第5回からは「東京オートサロン」に名称を変更し、会場も晴海の東京国際見本市会場から1997年に東京ビッグサイト、そして1999年に幕張メッセへと年を追う毎に規模が拡大。
その間、東京モーターショーを筆頭に、大人の世界を演出する世界各国の主要自動車ショーが衰退に向かうなかで、一貫してクルマ好きに愛されるイベントとして不動の地位を獲得。前回2024年の集客数は3日間で23万人余り。近年では、国内自動車メーカーもスポーツブランドやカスタムカーを出展するようになり、一時期遠退いていた海外自動車メーカーの出展も一転して増加傾向にある。
そんな規模の拡大に伴い展示内容も変化。昨今ではカスタムカー、カスタムパーツだけのショーなどではなく毎度、新年開催という強みを活かしてモータースポーツ活動の正式な体制発表会の場としても機能し始める。
屋外展示場を使用したレーシングマシンなどのデモランも人気のコンテンツに。更に自動車関連のゲームから端を発してアニメ、音楽アーティストらが出演するライブステージにファッション領域まで、ある意味コアな若者文化をひとまとめに取り込むビッグイベントとなっている。
従って今年も国内の主要自動車メーカーが9時30分から開始のトヨタ自動車を筆頭に、10時5分からはマツダ。10時30分から本田技研工業、11時からスバルのプレスカンファレンスを実施。
また先の通りモータースポーツ色を打ち出している同イベントゆえにTOYOTA GAZOO Racingも参加。今年も恒例の豊田章男トヨタ自動車代表取締役会長のプレスカンファレンス参加が告知されていたが、今回は急遽、高橋智也GAZOO Racingカンパニープレジデント、石浦宏明選手、大嶋和也選手、豊田大輔選手らの登壇へとスイッチされている。なお自動車メーカーの出展では、トヨタグループの配置が9〜11ホールとなっている。
輸入車ブランドのプレスカンファレンスでは、10時30分からヒョンデモビリティジャパン、11時30分からビー・エム・ダブリュー、12時からフォルクスワーゲン グループ ジャパン、13時からビーワイディーオートジャパンのプレスカンファレンスなどが行われた。
車両展示の主なものだけを拾ってもトヨタ自動車はミッドシップにカスタマイズした「ヤリス」を公開。日産はR32型スカイラインGTRを拘り抜いて電動化したGTR R32EV、ホンダは2023年のジャパンモビリティショーで世界初公開した「PRELUDE Concept」をベースにエアロパーツを装着したカスタマイズモデルの他、「シビックタイプR」に新設定する「レーシングブラックパッケージ」が公開。マツダはスポーツ性能を突き詰めた「ロードスター」、スバルはSシリーズの最新型「S210 PROTOTYPE」を披露。
いすゞ自動車の子会社で純正用品を手掛けるいすゞA&Sも、小型トラック「エルフミオ」をベースとしたキャブバン仕様をオリジナル部品で装飾した「アドバンスド・コンセプト」と、平ボディー車の荷台にサイドパネルなどを配置した「クロス・コンセプト」の2台のコンセプトカーを展示。中国・比亜迪傘下の日BYDオートジャパンはSUVタイプの新型EV「シーライオン」を日本初公開。いずれもクルマ好きが集まるオートサロンで嗜好性が高いモデルを発表して販売拡大に繋げたい構えだ。
会場内には、一般のカスタマイズショップに紛れて、整備を板金塗装(BP)学校出展するスタム車も来場者の注目を集めるだろう。近年、全国津々浦々からやってくる各校はオートサロンへの出展車両づくりを通じクルマに関わる技術を磨く絶好の場となっている。
また初日の10日の13時30分からは、幕張メッセ内のイベントホールでオープニングセレモニーが開催された。セレモニーの杮落としは創作和太鼓奏者である「日本太鼓」の面々。これまでも東京オートサロンで演奏を披露しており今年も迫力満点の演奏で魅せた。
その後、千葉県副知事 黒野嘉之氏、千葉市副市長 橋本直明氏、一般社団法人 日本自動車工業会理事・事務局長 髙橋信行氏、一般社団法人 日本自動車連盟 専務理事 野津真生氏、一般社団法人日本自動車用品・部品アフターマーケット振興会会長 中嶋 敬一郎氏、東京オートサロン事務局長 福井潤一の6名が登壇。
テープカット前に代表して黒野副知事が挨拶し、国内外からオートサロンを訪れる来場者に向けて千葉県の魅力をアピールした。テープカットの後は、東京オートサロンのイメージガールの「A-class」によるライブステージが開催。オートサロン会場ではA-classのオリジナルCDも販売されるとあって、ファンからは多くの声援が上がった。