ステランティス傘下のダッジ・ブランドは3月5日(米国ミシガン州オーバーンヒルズ発)、電動マッスルカーの世界に於いてダッジチャージャーの近未来像を示した。なかでもピュアEVモデルは、テールパイプからのCO2排出量がゼロあるにも関わらず、旧来のV型8気筒スーパーチャージ車を大きく超えるパフォーマンスを発揮する。
例えばBEVの新型ダッジ チャージャー・デイトナ・スキャット・パック( Dodge Charger Daytona Scat Pack )は、400Vの推進システムを介して670馬力の総出力を持ち、時速0-60マイルに約3.3秒で到達。4分の1マイルを約11.5秒で走り切る俊足さを備え、歴代マッスルカー史上最強の称号を手にした。また電動モデルの車種ラインには496馬力のダッジ チャージャー デイトナR/Tも存在する。
なお新型ダッジ チャージャーには、電動外の複数のパワーユニットが用意されており、3.0L ツインターボハリケーンエンジンを搭載した550馬力のダッジ チャージャー シックスパックHOや、420馬力の3.0Lツインターボ標準エンジン搭載したダッジ チャージャー シックスパックSOもラインナップされる。
いずれも柔軟性の高いBEVネイティブのSTLAラージ・プラットフォームを初めて使う車両となり、個々車両の目標性能に沿って、多様なサスペンションシステムが組み付けられる。
バッテリー パックは、100.5kWhの容量と550kWのピーク放電率を誇る。搭載バッテリーセルの構造は角柱状になっており、剛性の高いケーシングにより優れた熱性能を備え、構造的に安定したセル構造によってバッテリー温度をより安定化させる資質を持つ。
チャージャー デイトナ モデルでは、高度な回生ブレーキ システムも利用、減速中に車両の運動エネルギーを電気に変換して総航続距離を延ばす。ドライバーはパドルシフトを使用して回生ブレーキのレベル (0.1g、0.2g、または 0.3g 回生) を調整し、運転体験をカスタマイズすることもできる。
ダッジ・チャージャー・デイトナ・スキャット・パックには、16インチのブレンボ製ローターとフロント6ピストン/リア4 ピストン固定キャリパーが用意され、制動面積が従来のSRTから30% 以上増加。ブレーキのフェード耐性が飛躍的に高くなった。ブレーキ システム自体も、プログラムの最適化により車両の減速を制御。回生と制動力をコントロールすることでブレーキペダルへの入力を監視し、適切なペダルフィードバックを提供する。
チャージャーの足元には、鍛造アルミニウム製のマルチリンクサスペンションと、完全独立のリアサスペンションを介して、20インチ ホイールとグッドイヤーイーグルF1スーパーカー3の305/35ZR20XLフロント/325/35ZR20リアタイヤで固めれる。
エクステリアデザインでは、機能を重視し、過剰なものを避け、先代からのクリーンで時代を超越したラインを反映した筋肉質な造形とした。
更に新しいチャージャーのデザインでは独自のワイドボディ感を際立たせており、2ドア クーペと4 ドア セダンは共通のホイールベースを持つ。またオプションのフルレングスガラスルーフ(グロスブラック塗装ルーフが標準装備)は、キャビンのオープンエアな雰囲気を高め、大型リアハッチと合わせて広大なガラスキャノピーとした。
インテリアデザインでは、モダンなレイヤード型インストルメントパネルに独立したワイドフォーマットの10.25インチまたは16インチのクラスタースクリーンを設け、12.3インチのセンターディスプレイは角度を付けたセンタースタックに配置して彫刻的な外観を造り出している。
ステアリングホイールはヒーター付きフラットトップ/フラットボトムデザインで、回生ブレーキを管理するパドルシフトとデイトナ スキャット パック用の PowerShot ボタン (クイックアクセス用にホイールの前面に配置) が含まれている。
インフォテインメントシステムでは、ステランティス初となるフリーフローティングデザインの10.25インチ (デイトナ R/T) および 16インチ (デイトナ スキャット パック) の計器クラスターをはじめ、伝統のダッジ ブランドイメージを踏襲させている。
室内空間ではクラス最大の荷物容量を提供する。後部の最大積載面積は38.5立方フィートで、従来車よりも積載量が133% 増加した。またフランクエリアには追で 1.5立方フィートの収納スペースが用意される。
航続距離でダッジ チャージャーデイトナR/Tは517マイル以上の航続距離を実現。より高性能なチャージャー デイトナ スキャット パックは航続距離420マイルを実現する。
充電ではレベル3 DC CCS 急速充電器を使用した場合、 20~80%の充電状態から27分強で再充電が可能。推定充電容量は350 kWの高速充電器を使用した場合、デイトナR/Tの場合は毎分約9.9 マイル、デイトナ スキャット パックの場合は毎分13.1マイルの充電時間が必要となる。
この新たなマッスルカーラインナップについてステランティスのダッジブランドを担うティム・クニスキス氏は、「電動モデルのダッジ・チャージャー・デイトナ・スキャット・パックは世界初のフラッツニック・チャンバード・エキゾーストによって走行音でも孤高の存在感を示します。
なおピュアEVのダッジ・チャージャー・デイトナ・スキャット・パックとダッジ・チャージャー・デイトナR/Tの2ドア・クーペ・バージョンは、2024年半ばに生産が開始するという。またデイトナ・スキャット・パックおよびR/Tモデルの生産は、2025年第1四半期に開始される。
ガソリン駆動の2ドア・ダッジ・チャージャー・シックスパックHOおよびダッジ・チャージャー・シックスパックSOモデルも追って生産が開始される。またこれら新型ダッジ・チャージャーは、ウィンザー(オンタリオ州)組立工場で生産される予定だ。
なおこれらの生産計画は、ステランティスのデアフォワード2030戦略計画に沿ったものであり、今モデルでの高効率的パワーユニットへの切り替えで、2038年までに炭素中立を達成するステランティスグループの二酸化炭素排出量削減計画を、更に強力に推し進めることになると結んでいる。