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2025年1月6日【新型車】

スマート、アクセスの協力を得て中国市場拡大を目指す

坂上 賢治

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車載ブラウザの設計を担うACCESS( 東京都千代田区 )傘下でドイツに拠点を構えるACCESS Europe GmbH( ACCESS Europe )と、EVブランドのsmart( スマート / Smart Automobile Co., Ltd. )は1月6日、ACCESS製車載ブラウザ「NetFront® Browser」をsmartへ搭載するべく事業提携で合意した。

 

今回、ACCESS Europeのブラウザ技術を搭載するsmartは、かつて1990年代に創業して以降、未来の都市モビリティとして最良のソリューションを探求するというビジョンを掲げてきた。

 

その後、2019年を迎えたsmartは、”中国と欧州を跨いだ2拠点戦略を敷くべくsmart Automobileを設立。ドイツ車ならではの高品位さに加えて、インテリジェントな自動車ブランド像を視野に鋭意開発が進められてきた。

 

そんな同車ブランドは今日、ビジネスモデルが大きく改められており「Sprint to the Next Level( 新たなレベルへの飛躍 )」をコンセプトに掲げつつ、ブランドスローガンを「open your mind( 心を開く )」としている。

 

これは楽観的でオープンな姿勢を保ちつつ、思考、文化などの多様性を受け入れる懐の深さを持たせた新生smartとして、ステアリングを握った際のワクワクしたドライビング感覚も併せてを大事にしたいというものになった。

 

より具体的なクルマづくりにも変化が現れており、コンセプトに基づく研究・開発過程と最新のポートフォリオ策定を独smartの研究開発部門が率い、車両の設計自体はメルセデス・ベンツのグローバル設計部門が統括する。

 

市場への投入車種は現在、「smart #1」、「smart #3」、「smart #5」の3車種の完全電気SUVモデルラインとして投入。更に2024年8月には新型の「smart #5」をオーストラリアのブリスベンで公開。これにより中型電気SUVセグメントへの正式参入も果たしている。

 

こうしたsmartの積極姿勢を前提にACCESSでは、まず欧州のエンジニアリングチームが中国のsmart事業部門と協議を重ね、過去40年以上に亘ってブラウザ開発を手掛けてきたノウハウを投入。中国の走行環境と法規制に最適化させたsmart専用の「NetFront Browser」を開発させ、当地の顧客に合わせた直観的でユーザーフレンドリーなブラウジング体験も実現させていると謳っている。

 

またsmartグローバル最高技術責任者(CTO)Yang Jun氏は、今回の協業について「smartでは、車載コネクティビティとユーザーエクスペリエンスの限界を押し上げることを最も重要な顧客価値と考えて取り組んでいます。

 

対してACCESSは、先進的なブラウザーソリューションの提供で実績があり、その専門知識は中国の顧客に優れたインターネット体験をもたらすと確信しています。今回の提携は、車載体験を向上させるだけでなく、中国の自動車市場におけるブラウジングの新たなスタンダードを打ち立てるものです」と述べた。

 

これを受けてACCESS Europe 最高経営責任者(CEO)青野 政博氏は、「このたびの提携により、ACCESSの『NetFront Browser』がsmartの車両に搭載されることを大変嬉しく思います。

 

smartは、都市モビリティにおける既成概念の打破に取り組んでおり、この協業によって、車載ブラウザ技術に関する当社の専門知識が、モビリティ体験に関するsmartの先駆的なビジョンと融合されます。両社が一丸となって、現代の中国におけるドライバーのニーズを満たす、優れたインターネット体験を提供してまいります」と応えている。

 

なお同協業によりsmartに搭載される機能とて達成条件は以下の通り

 

・ユーザーインターフェース(UI)の最適化:直観的なタッチ操作とフルスクリーン表示のユーザーフレンドリーなインターフェースで、ドライバーにも同乗者にもシームレスなブラウジング体験を提供する。

 

・音声コントロール:安全性の向上とハンズフリーによる使いやすさを実現する音声機能により、ユーザーは注意散漫になることなく情報にアクセスできるようにする。

 

・車載マルチメディアシステムへのシームレスな統合:マルチメディア管理、メディア出力管理、メディアウィジェットインタラクション、ホイールコントロール、カスタマイズされたホーム画面等が含まれる。

 

・安全性とセキュリティ機能の強化:ドライバーの注意散漫防止、ダウンロード管理、URLアクセス管理、プライベート閲覧モード、ブラックリスト管理等が含まれる。

 

・ブックマークと閲覧履歴管理の強化:ドライバーが、お気に入りのウェブサイトや閲覧履歴を容易に管理してパーソナライズできるようにし、あらゆるカーライフを充実させることを目指す。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。