車載ブラウザの設計を担うACCESS( 東京都千代田区 )傘下でドイツに拠点を構えるACCESS Europe GmbH( ACCESS Europe )と、EVブランドのsmart( スマート / Smart Automobile Co., Ltd. )は1月6日、ACCESS製車載ブラウザ「NetFront® Browser」をsmartへ搭載するべく事業提携で合意した。
今回、ACCESS Europeのブラウザ技術を搭載するsmartは、かつて1990年代に創業して以降、未来の都市モビリティとして最良のソリューションを探求するというビジョンを掲げてきた。
その後、2019年を迎えたsmartは、”中国と欧州を跨いだ2拠点戦略を敷くべくsmart Automobileを設立。ドイツ車ならではの高品位さに加えて、インテリジェントな自動車ブランド像を視野に鋭意開発が進められてきた。
そんな同車ブランドは今日、ビジネスモデルが大きく改められており「Sprint to the Next Level( 新たなレベルへの飛躍 )」をコンセプトに掲げつつ、ブランドスローガンを「open your mind( 心を開く )」としている。
これは楽観的でオープンな姿勢を保ちつつ、思考、文化などの多様性を受け入れる懐の深さを持たせた新生smartとして、ステアリングを握った際のワクワクしたドライビング感覚も併せてを大事にしたいというものになった。
より具体的なクルマづくりにも変化が現れており、コンセプトに基づく研究・開発過程と最新のポートフォリオ策定を独smartの研究開発部門が率い、車両の設計自体はメルセデス・ベンツのグローバル設計部門が統括する。
市場への投入車種は現在、「smart #1」、「smart #3」、「smart #5」の3車種の完全電気SUVモデルラインとして投入。更に2024年8月には新型の「smart #5」をオーストラリアのブリスベンで公開。これにより中型電気SUVセグメントへの正式参入も果たしている。
こうしたsmartの積極姿勢を前提にACCESSでは、まず欧州のエンジニアリングチームが中国のsmart事業部門と協議を重ね、過去40年以上に亘ってブラウザ開発を手掛けてきたノウハウを投入。中国の走行環境と法規制に最適化させたsmart専用の「NetFront Browser」を開発させ、当地の顧客に合わせた直観的でユーザーフレンドリーなブラウジング体験も実現させていると謳っている。
またsmartグローバル最高技術責任者(CTO)Yang Jun氏は、今回の協業について「smartでは、車載コネクティビティとユーザーエクスペリエンスの限界を押し上げることを最も重要な顧客価値と考えて取り組んでいます。
対してACCESSは、先進的なブラウザーソリューションの提供で実績があり、その専門知識は中国の顧客に優れたインターネット体験をもたらすと確信しています。今回の提携は、車載体験を向上させるだけでなく、中国の自動車市場におけるブラウジングの新たなスタンダードを打ち立てるものです」と述べた。
これを受けてACCESS Europe 最高経営責任者(CEO)青野 政博氏は、「このたびの提携により、ACCESSの『NetFront Browser』がsmartの車両に搭載されることを大変嬉しく思います。
smartは、都市モビリティにおける既成概念の打破に取り組んでおり、この協業によって、車載ブラウザ技術に関する当社の専門知識が、モビリティ体験に関するsmartの先駆的なビジョンと融合されます。両社が一丸となって、現代の中国におけるドライバーのニーズを満たす、優れたインターネット体験を提供してまいります」と応えている。
なお同協業によりsmartに搭載される機能とて達成条件は以下の通り
・ユーザーインターフェース(UI)の最適化:直観的なタッチ操作とフルスクリーン表示のユーザーフレンドリーなインターフェースで、ドライバーにも同乗者にもシームレスなブラウジング体験を提供する。
・音声コントロール:安全性の向上とハンズフリーによる使いやすさを実現する音声機能により、ユーザーは注意散漫になることなく情報にアクセスできるようにする。
・車載マルチメディアシステムへのシームレスな統合:マルチメディア管理、メディア出力管理、メディアウィジェットインタラクション、ホイールコントロール、カスタマイズされたホーム画面等が含まれる。
・安全性とセキュリティ機能の強化:ドライバーの注意散漫防止、ダウンロード管理、URLアクセス管理、プライベート閲覧モード、ブラックリスト管理等が含まれる。
・ブックマークと閲覧履歴管理の強化:ドライバーが、お気に入りのウェブサイトや閲覧履歴を容易に管理してパーソナライズできるようにし、あらゆるカーライフを充実させることを目指す。