NPO法人 日本自動車研究者ジャーナリスト会議(RJC/会長・飯塚昭三)は、11月9日に開催した最終選考会に於いて、2020年次RJCカーオブザイヤーの各賞を決定・発表した。選考はコロナ禍の影響で2年連続リモート最終選考となった。但し選出手順は例年に沿って消化され、自動車評論家などの構成メンバーにより事前に選出した6ベストの中から各部門(国産車部門・輸入車部門・テクノロジー部門/内容は後述)で栄えある栄冠が授与されている。(坂上 賢治)
今年、国産車部門は「日産ノート/ノートオーラ」、輸入車部門は「BMW4シリーズ」、テクノロジー部門は三菱エクリプスクロスPHEVに搭載されている「進化したPHEVシステムとS-AWC」がそれぞれ受賞した。
日産ノート/ノートオーラは電動車専用の先進的な内外装に、上質かつ力強い走りとワンランク上の静粛性をもたらす新型プラットフォームと第2世代のe-POWERを採用。ナビリンク機能付きプロパイロットなどの運転支援装備もさらに充実させ、より上質な「ノートオーラ」、スポーティな「ノートオーラNISMO」、SUVスタイルの「ノートAUTECH CROSSOVER」といった多彩なバリエーションを用意した事を評価した。得票は以下の通り。
BMW4シリーズは、セダンの3シリーズとシャシーを共用しながら、縦長の大型キドニーグリルなどエクステリアに積極的なデザインを採用し、クーペ系モデルならではの独自の魅力を高めた。新たにソフトトップを採用したカブリオレのデザインも魅力的である。パワートレーンも直列6気筒エンジンを搭載するなど、プレミアムスポーティとしてふさわしい充実した内容である事を評価した。得票は以下の通り。
進化したPHEVシステムとS-AWCは、世界各国で発売され、高い評価を得ているアウトランダーPHEVのツインモーター4WD+車両運動走行制御システムのS-AWCをエクリプスクロス用に最適化。PHEVモデルならではの高い静粛性や力強く安定した走行性能を引き出し、車両重量を感じさせない軽快な加速感ときびきびとしたハンドリングをもたらす技術を評価したと綴られている。得票は以下の通り。
さらに第一次選考時の各部門結果(6ベスト)は以下の通り
ちなみにRJCは1991年発足。今年(2021年)、同法人の神谷龍彦会長の逝去(9月20日)に伴い、10月15日付で飯塚昭三理事が後任の会長に就任した。
前会長の神谷龍彦氏は、1972年、株式会社モーターマガジン社入社。ホリデーオート誌、モーターマガジン誌の編集長を経て、海外部長、編集企画室部長を歴任。「世界の自動車」等の編集長も担当。2002年、アポロ出版株式会社入社。モーター毎日出版株式会社常務取締役、アポロ出版株式会社執行役員などを経て、2007年からフリー。2019年6月RJC会長となった。
なお目下、日本国内には自動車並び技術などに関し賞典を授与する団体が複数存在し、最も発足が早い(1980年から開催)一般社団法人 日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY/コティ)実施の〝日本カー・オブ・ザ・イヤー〟、これに90年代以降続く〝RJCカー・オブ・ザ・イヤー〟、さらに特定非営利活動法人の日本自動車殿堂(JAHFA/ジャファ)の〝イヤー賞〟の3つが並び、毎年、個々にイヤーカーの選考・授与が行われている。個々に選考基準は独自であるため、結果、日本国内に於いて毎年複数のイヤーカーが選出されるケースもある。
個々イヤーカー選出の拠所は、COTYは実施目的として、〝市販を前提として日本国内で発表される乗用車の中から、年間を通じて最も優秀なクルマを選定し、そのクルマに日本カー・オブ・ザ・イヤーのタイトルを与え、その開発・製造事業者を称えることにより、一層の性能・品質・安全の向上を促すと共に業界発展と地球環境保護、交通安全に寄与する〟と記載。
またRJCでは定款で〝自動車の性能、利便性などの評価を行い、国産車、輸入車の製造、販売、購入、使用などに関わる人たちすべてに対して、直接もしくは諸種の媒体を通じて提言を行う、また自動車の交通、安全、環境保全などの問題に対しても貢献する〟としている。
JAHFAは理念として、〝日本における自動車産業・学術・文化などの発展に寄与し、豊かな自動車社会の構築に貢献した人々の偉業を讃え、殿堂入りとして顕彰し、永く後世に伝承してゆくことを主な活動とする。現在、日本の自動車産業は、その生産量や性能・品質など世界の水準を凌駕するに至り、わが国の産業の範としてその地位を得ているが、当初は欧米の自動車技術や産業を学ぶところからの出発であった。
周辺の関連産業分野を含め、自動車は高度な工業製品であるが、これを先人たちは様々な工夫と叡智によって切り拓いてきた。しかし、こうした努力の足跡は時の経過とともに埋もれ、その多くが忘れ去られようとしている。優れた自動車の産業・学術・文化などに情熱を傾けた人々と、その偉業を永く後世に伝承してゆくことは、この時期にめぐり合わせた我々の務めであるといえよう。
技術立国と呼ばれるわが国にあって、その未来を担う青少年たちが、有用な技術の成果に目を向け、技術力や創造性の大切さ、発明や工夫の面白さを認識するためにも、この活動は意義あるものと考える。これこそが日本自動車殿堂が目指すところである〟と掲げられている。