日産自動車は4月3日、「セレナ」e-POWER車に、電動4WD制御「e-4ORCE」を搭載した4WDグレードを新たに設定した。発売は11月中旬を予定。価格は361万4,600円から408万8,700円。
ここで一旦、セレナの足跡を振り返ってみると同車の初登場は1991年にバネット・セレナとしてデビューしたのが最初。現行セレナは2022年11月に6代目として登場した。現行車の販売面に於ける成績は、2024年9月末時点でガソリン車とe-POWER車の合計累計受注台数が15万台1000台となっている。
日産によると、そのなかでセレナe-POWERに4WD版を求める声は想像以上に高かったそうで、現行車でも約3分の2がe-POWER車であるため、同社では販売総数の15%程度を占めるのではないかと期待を膨らませている。
「セレナ e-4ORCE ハイウェイスターV」
ちなみに追加された電動4WDは、最高出力60kW、最大トルク195N・mのリアモーターが一基追加搭載される。対して2WD(FF)車は、フロント側にのみ最高出力120kW、最大トルク315N・mのフロントモーターが一基搭載される。結果、4WD版は、それなりの重量増となるものの、システム出力自体は大きく高められたことになる。
こうして生まれた新たなe-4ORCE車は、前後に搭載された2基のモーターに加えて、四輪ブレーキも統合制御して走行する。
更にe-4ORCEには、ドライビングモードで従来からあった「STANDARD」「SPORT」「ECO」に加えて、雪道での走破性に特化した「SNOWモード」が追加されたことで、雪上て刻々と変化する4輪の接地荷重を制御。低ミュー路でのトラクション性能が高まった。
日産によると走行性能面の改善は画期的だと謳っており、その理由はリアモーターを搭載したことにより前後質量配分が均等化されたこと。前後で回生ブレーキをバランス良くかけられることから、減速時や旋回時の姿勢変化を積極的に制御できるようになったことが効いているという。
絶対的な動力性能でも先の姿勢制御の効果が出ており、モーターが2基となったことで中間加速の伸びが向上した。また肝心の走行安定性でもミニバンに求められる実用性が向上、前のめりになる不快な揺れが抑えられ、信号や渋滞の多い道でも滑らかに加減速できることから車酔いが軽減、快適さが増した。
但しその分、パッケージングには苦労があったようだ。そもそもFF駆動のセレナをe-4ORCE化するには、後軸近くにリアモーターを搭載しなければならないからだ。
しかし素人考えではセダンやクーペとは違い、スペースがあるミニバンなら難なく収められるようなイメージなのだが、実際には居住性との兼ね合いがあるため、フラットフロアを売りとするセレナでは想像以上の難しさがあるという。
そこで今回は、大型モーターを後軸近く搭載できるよう後側のサスペンション構造を専用設計した。また併せてリアモーターも変速機の形状やマウントを改めて作り直して車室空間の確保に腐心した。その苦労の甲斐もあってか、最低地上高はFF車の135mmから150mmに引き上げられている。
車種ラインナップは、全長4690-4765mm×全幅1695-1715mm×全高1880-1885mm、ホイールベース2870mmの標準タイプに加え、エアロタイプの「ハイウェイスター」シリーズ、高速道路の同一車線走行時にハンズオフ可能な「プロパイロット2.0」を搭載する最上級グレード「ルキシオン」、更に専用内外装を施したカスタム車「オーテック」などが用意されている(以下後述)。
「セレナe-POWER e-4ORCE」全国希望小売価格(消費税込み)は以下の通り
駆動_電子制御4WD
エンジン:HR14DDe-EM57-MM48
グレード:e-4ORCE X
乗車定員(人):7
価格(円):3,614,600-
駆動_電子制御4WD
エンジン:HR14DDe-EM57-MM48
グレード:e-4ORCE XV
乗車定員(人):7
価格(円):3,914,900-
駆動_電子制御4WD
エンジン:HR14DDe-EM57-MM48
グレード:e-4ORCE ハイウェイスターV
乗車定員(人):7
価格(円):4,088,700-
「セレナ」 WEBカタログ:https://www3.nissan.co.jp/vehicles/new/serena.html
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日産モータースポーツ&カスタマイズ(NMC)は同日、セレナのカスタムカー「AUTECH」、並びに、「ステップタイプ」、福祉車両「セカンドスライドアップシート」、車中泊仕様の「マルチベッド」のe-POWER車に、電動駆動4輪制御技術「e-4ORCE」を搭載した4WDグレードを設定した。
同時に、e-POWER 2WDのスポーティグレード「AUTECH SPORTS SPEC」を新たに設定した。なお発売は4WDグレードは11月中旬、また、「AUTECH SPORTS SPEC」は12月上旬を予定している。
セレナ「セカンドスライドアップシート」
セレナ「マルチベッド」
今回、日産の電動化技術と4WD制御技術、シャシー制御技術を統合することで、日常からアウトドアまで、すべてのシーンで「走る・曲がる・止まる」という性能を飛躍的に向上した電動駆動 4輪制御技術「e-4ORCE」を、「AUTECH」、「ステップタイプ」、「セカンドスライドアップシート」、「マルチベッド」のe-POWER車に搭載した。
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<セレナ「AUTECH SPORTS SPEC」>
「AUTECH」は、多種多様なカスタムカーづくりで蓄積してきた同社伝統のクラフトマンシップを継承し、スポーティでありながら高級感漂うスタイリングを伸長させた。
今回は「AUTECH」シリーズとして、ハンドリングや加速感をチューニングしたモデル「AUTECH SPORTS SPEC」を、新たに設定した。
セレナ「AUTECH SPORTS SPEC」
「AUTECH SPORTS SPEC」では、「セレナ」唯一の17インチタイヤを装着、ボディ、サスペンション、および、パワーステアリング特性のチューニングを施し、更に遮音性能の向上などにより上質な乗り味を両実現。また専用チューニングコンピューターを採用したことで、e-POWER車ならではのパワフルで気持ちの良い加速フィーリングに磨きを掛けた。
NMCは、前身であるオーテックジャパン創業の1986年以降、数々のパフォーマンスチューニングを手掛けており、「セレナ」では2007年に、かつてないチューンドミニバンの世界を「ライダー パフォーマンススペック」として提案した。以降、代々継続的に好評を博してきた、街乗りやロングドライブ、ワインディングロードなど様々な場面でのリニアで楽しいスポーティさ、余裕や安定感を感じられる走りを、今回のセレナ「AUTECH SPORTS SPEC」にも継承・進化させたとしている。
※パフォーマンスダンパーはヤマハ発動機の登録商標。
<全国希望小売価格(消費税込み)>
<WEBカタログ>
セレナ「AUTECH」シリーズ : https://www.autech.co.jp/sv/serena_autech/index.html
セレナ「ステップタイプ」 : https://www.autech.co.jp/sv/serena_step/index.html
セレナ「ライフケアビークル(LV)」シリーズ : https://lv.nissan.co.jp/LVCAR/SERENA/
セレナ「マルチベッド」 : https://www.autech.co.jp/sv/serena_multibed/index.html