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2024年10月3日【新型車】

日産自動車、「セレナeパワー」に電気制御4WDを追加

坂上 賢治

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日産自動車は4月3日、「セレナ」e-POWER車に、電動4WD制御「e-4ORCE」を搭載した4WDグレードを新たに設定した。発売は11月中旬を予定。価格は361万4,600円から408万8,700円。

 

ここで一旦、セレナの足跡を振り返ってみると同車の初登場は1991年にバネット・セレナとしてデビューしたのが最初。現行セレナは2022年11月に6代目として登場した。現行車の販売面に於ける成績は、2024年9月末時点でガソリン車とe-POWER車の合計累計受注台数が15万台1000台となっている。

 

日産によると、そのなかでセレナe-POWERに4WD版を求める声は想像以上に高かったそうで、現行車でも約3分の2がe-POWER車であるため、同社では販売総数の15%程度を占めるのではないかと期待を膨らませている。

 

「セレナ e-4ORCE ハイウェイスターV」

 

ちなみに追加された電動4WDは、最高出力60kW、最大トルク195N・mのリアモーターが一基追加搭載される。対して2WD(FF)車は、フロント側にのみ最高出力120kW、最大トルク315N・mのフロントモーターが一基搭載される。結果、4WD版は、それなりの重量増となるものの、システム出力自体は大きく高められたことになる。

 

こうして生まれた新たなe-4ORCE車は、前後に搭載された2基のモーターに加えて、四輪ブレーキも統合制御して走行する。

 

更にe-4ORCEには、ドライビングモードで従来からあった「STANDARD」「SPORT」「ECO」に加えて、雪道での走破性に特化した「SNOWモード」が追加されたことで、雪上て刻々と変化する4輪の接地荷重を制御。低ミュー路でのトラクション性能が高まった。

 

 

 

日産によると走行性能面の改善は画期的だと謳っており、その理由はリアモーターを搭載したことにより前後質量配分が均等化されたこと。前後で回生ブレーキをバランス良くかけられることから、減速時や旋回時の姿勢変化を積極的に制御できるようになったことが効いているという。

 

絶対的な動力性能でも先の姿勢制御の効果が出ており、モーターが2基となったことで中間加速の伸びが向上した。また肝心の走行安定性でもミニバンに求められる実用性が向上、前のめりになる不快な揺れが抑えられ、信号や渋滞の多い道でも滑らかに加減速できることから車酔いが軽減、快適さが増した。

 

 

但しその分、パッケージングには苦労があったようだ。そもそもFF駆動のセレナをe-4ORCE化するには、後軸近くにリアモーターを搭載しなければならないからだ。

 

しかし素人考えではセダンやクーペとは違い、スペースがあるミニバンなら難なく収められるようなイメージなのだが、実際には居住性との兼ね合いがあるため、フラットフロアを売りとするセレナでは想像以上の難しさがあるという。

 

そこで今回は、大型モーターを後軸近く搭載できるよう後側のサスペンション構造を専用設計した。また併せてリアモーターも変速機の形状やマウントを改めて作り直して車室空間の確保に腐心した。その苦労の甲斐もあってか、最低地上高はFF車の135mmから150mmに引き上げられている。

 

車種ラインナップは、全長4690-4765mm×全幅1695-1715mm×全高1880-1885mm、ホイールベース2870mmの標準タイプに加え、エアロタイプの「ハイウェイスター」シリーズ、高速道路の同一車線走行時にハンズオフ可能な「プロパイロット2.0」を搭載する最上級グレード「ルキシオン」、更に専用内外装を施したカスタム車「オーテック」などが用意されている(以下後述)。

 

「セレナe-POWER e-4ORCE」全国希望小売価格(消費税込み)は以下の通り

駆動_電子制御4WD
エンジン:HR14DDe-EM57-MM48
グレード:e-4ORCE X
乗車定員(人):7
価格(円):3,614,600-

 

駆動_電子制御4WD
エンジン:HR14DDe-EM57-MM48
グレード:e-4ORCE XV
乗車定員(人):7
価格(円):3,914,900-

 

駆動_電子制御4WD
エンジン:HR14DDe-EM57-MM48
グレード:e-4ORCE ハイウェイスターV
乗車定員(人):7
価格(円):4,088,700-

 

「セレナ」 WEBカタログ:https://www3.nissan.co.jp/vehicles/new/serena.html

 

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日産モータースポーツ&カスタマイズ(NMC)は同日、セレナのカスタムカー「AUTECH」、並びに、「ステップタイプ」、福祉車両「セカンドスライドアップシート」、車中泊仕様の「マルチベッド」のe-POWER車に、電動駆動4輪制御技術「e-4ORCE」を搭載した4WDグレードを設定した。

 

同時に、e-POWER 2WDのスポーティグレード「AUTECH SPORTS SPEC」を新たに設定した。なお発売は4WDグレードは11月中旬、また、「AUTECH SPORTS SPEC」は12月上旬を予定している。

 

セレナ「セカンドスライドアップシート」

セレナ「マルチベッド」

 

今回、日産の電動化技術と4WD制御技術、シャシー制御技術を統合することで、日常からアウトドアまで、すべてのシーンで「走る・曲がる・止まる」という性能を飛躍的に向上した電動駆動 4輪制御技術「e-4ORCE」を、「AUTECH」、「ステップタイプ」、「セカンドスライドアップシート」、「マルチベッド」のe-POWER車に搭載した。

 

 

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<セレナ「AUTECH SPORTS SPEC」>

「AUTECH」は、多種多様なカスタムカーづくりで蓄積してきた同社伝統のクラフトマンシップを継承し、スポーティでありながら高級感漂うスタイリングを伸長させた。

 

今回は「AUTECH」シリーズとして、ハンドリングや加速感をチューニングしたモデル「AUTECH SPORTS SPEC」を、新たに設定した。

 

セレナ「AUTECH SPORTS SPEC」

 

「AUTECH SPORTS SPEC」では、「セレナ」唯一の17インチタイヤを装着、ボディ、サスペンション、および、パワーステアリング特性のチューニングを施し、更に遮音性能の向上などにより上質な乗り味を両実現。また専用チューニングコンピューターを採用したことで、e-POWER車ならではのパワフルで気持ちの良い加速フィーリングに磨きを掛けた。

 

 

NMCは、前身であるオーテックジャパン創業の1986年以降、数々のパフォーマンスチューニングを手掛けており、「セレナ」では2007年に、かつてないチューンドミニバンの世界を「ライダー パフォーマンススペック」として提案した。以降、代々継続的に好評を博してきた、街乗りやロングドライブ、ワインディングロードなど様々な場面でのリニアで楽しいスポーティさ、余裕や安定感を感じられる走りを、今回のセレナ「AUTECH SPORTS SPEC」にも継承・進化させたとしている。

 

※パフォーマンスダンパーはヤマハ発動機の登録商標。

 

<全国希望小売価格(消費税込み)>

 

<WEBカタログ>
セレナ「AUTECH」シリーズ : https://www.autech.co.jp/sv/serena_autech/index.html

 

セレナ「ステップタイプ」 : https://www.autech.co.jp/sv/serena_step/index.html

 

セレナ「ライフケアビークル(LV)」シリーズ : https://lv.nissan.co.jp/LVCAR/SERENA/

 

セレナ「マルチベッド」 : https://www.autech.co.jp/sv/serena_multibed/index.html

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。