ミニキャブ・ミーブから大幅改良、航続距離を約35%延ばす
三菱自動車は11月24日、ワンボックスタイプの新型軽商用電気自動車(EV)の「ミニキャブEV」を12月21日から発売すると発表した。ミニキャブ・ミーブをベースに大幅改良し、一充電当たりの航続距離を先代モデル比約35%増の180キロメートル(WLTCモード)に延ばした。(佃モビリティ総研・松下次男)
ミニキャブ・ミーブは日本初の軽商用EVとして2011年12月に発売し、累計約1万3千台の販売実績を持つ。日本郵便や白洋舎、日本生活協同組合連合会などが導入済みだ。
軽商用EVをめぐってはカーボンニュートラルに伴う政府のグリーン成長戦略や競合他社から相次いで商品投入が計画されていることから、「来年度以降、一気に市場上昇を予測している」(商品戦略本部、藤井康輔氏)と分析する。
そこで今回、12年ぶりに商品を大幅改良し、航続距離の伸長と先進安全機能を搭載することで商品力強化を図ることにした。また、車名も軽乗用の「eKクロスEV」と同様にEVの名称を用いる。
名称変更について藤井氏は従来EVの総称に「ミーブ」を採用してきたが「わかりづらい」という声があり、EVそのものを採用することにしたと話す。
さらにグローバルでEVシフトが進展していることから、新モデルはASEAN(東南アジア諸国連合)でも展開する。計画としては、来年度からインドネシアで現地生産するほか、EVの普及が進むタイなどに投入する予定だ。
先進の予防安全技術「三菱e―Assist」を採用し安全性を高める
大幅改良した新型ミニキャブEVは一体型駆動系のeアクスルを採用するなど電動系コンポーネントを新世代化し、電費を大幅に改良した。
先進安全機能では、衝突被害軽減ブレーキ委や誤発信抑制装置、車線逸脱警報、オートハイビームなどの予防安全技術「三菱e―Assist」を採用。「一般的な新型車に使われている最新機能を搭載し、安全性を高めた」という。
外観デザインはフロントバンパーなどの一部の変更にとどめた。軽商用ということで、ユーザーは外観を「あまり気にしていない」とし、電費や安全装置など「必要なところから改良した」と述べた。
充電機能については普通充電を標準装備し、約7・5時間で満充電となる。業務用が主体のため、業務終了後に充電すれば、翌日の業務開始時には満充電状態で使えるとした。急速充電(オプション)の場合は、約42分で80%の充電が可能だ。
また、ガソリン車との比較では、7年間保有(月当たり1500キロメートル走行)で燃料代が約67%コストダウンできるとシミュレーションしている。
販売面では、軽商用市場は年間約22万台で推移しているとし、2024年で約2割、2030年は約4割を軽商用EVが占めると予測。ミニキャブ・ミーブもこの1~2年は2~3000台レベルで販売が伸びており、新型モデルについても「このレベルを確保したい」(国内商品戦略部、高木聡氏)と述べた。
車両価格(消費税込み)はほぼ「前モデルと同等」(高木氏)とし、2シーターが243万1千円、4シーターが248万6千円。現状、不透明なところがあるが、補助金を加えれば200万円前後で購入できる価格帯だ。