三菱ふそうトラック・バス(MFTBC、カール・デッペン社長・CEO)は10月25日、2017年から6年ぶりにフルモデルチェンジした大型トラック「スーパーグレート」を発表した。同日からのジャパンモビリティショーで新型モデルを世界初公開した。年内に国内で発売する。(佃モビリティ総研・松下次男)
新型スーパーグレートは経済性、安全性、快適性をコンセプトに全面改良したという。キャブデザインやパワートレインなどを一新するとともに、ダイムラートラック・グループの最新安全装備を搭載し、高度な安全性に対応させているのが特徴だ。
トラックの主要ユーザーである輸送業界はドライバーの時間外労働が規制、制約されるいわゆる2024年問題など、ドライバー不足への対応が喫緊の課題となっている。
こうしたことから新モデルは燃費性能を向上した新エンジンの採用やキャブデザインの改良により空気抵抗を改善し、2025年度重量車燃費基準(JH25モード)に適合(一部機種除く)させている。これにより大型トラックに求められるパワフルな走りと経済性を両立する。
室内空間も大幅に拡大。新型モデルはスーパーバリエーションをキャブバリエーションに新たに追加し、居住性と収納性を改善させている。
これに最新の先進安全装備を搭載することで、長距離輸送が大型トラックに求められる快適性や安全性、操作性を向上し、ドライバーに優しい大型トラックを目指したという。
新モデルには従来の6R20エンジン(総排気量10・7リットルL)、6S10エンジン(総排気量7・7リットル)に加え、新たに新型6R30エンジン(総排気量12・8リットル)を追加し、パワフルな走りと燃費性能を向上させた。
同エンジンは低回転域での走行頻度を増やすことで、振動や騒音が少なく、運転の負担やドライバーの疲労軽減に寄与する。さらに大排気量エンジンならではの強いトルクにより、けん引力や加速時の優れたレスポンスを併せ持ち、運転の快適性向上につながるという。
6R30エンジンの生産はダイムラートラックで行うが、開発・生産にはMFTBCのエンジニアが参画し、スーパーグレート用に最適化させているとした。
先進予防安全システムではより広範囲の安全予防装置を搭載する。
新型モデルには対象物の検出範囲をさらに拡大して精度を向上した衝突被害軽減ブレーキ「アクティブ・ブレーキ・アシスト6(ABA6)」を新規に全車標準装備する。
同システムは走行中に前方認識カメラとミリ波レーダーで先行車両や歩行者との衝突の危険を検知し、マルチファンクションモニターでドライバーに警告するとともに、ブレーキを作動し衝突被害軽減をサポートする。
第6世代に進化したABA6は従来モデルと比べて障害物の検出機能を改善し、路上の障害物をより正確に検知して誤作動を予防し、広範囲での危険に対応するとしている。
大型トラックにとって特に死角となる左折時の巻き込み事故の予防や車両右側や車線変更時の危険を検出する「「アクティブ・サイドガード・アシスト2.0」も新たに全車標準装備する。
これまでのモデルにも車両左側の対象物をミリ波レーダーで検出しランプや警報音で警告するほか、並走して動く対象物を検知し危険があると判断した場合に、車両の走行速度が時速20キロメートル以下の領域で被害軽減ブレーキを作動して車両を緊急停止する機能が備えられていた。
これに対しアクティブ・サイドガード・アシスト2・0は車体右側にもレーダーを搭載して検出範囲を右側にも拡大した。
これにより左折時に加え、右折時にも自転車や歩行者を検出すると警報音で警告を行うほか、左車線または右車線への車線変更を行う時に隣のレーンに走行車両がいる場合にも警告を行い、より広い範囲での危険対応をサポートする。
このほか、前方の自転車や歩行者を検知し、危険を警報する低速走行時前方衝突警報装置「フロント・ブラインドスポット・インフォメーション・システム」やバックでの走行中の安全を守るリヤビューカメラなどを全車に標準装備する。
一新したキャブデザインでは小型トラックや大型観光バスで採用してきた「ふそうブラックベルトデザイン」を新たに採用。生まれ変わった新モデルは車両前方下部に丸みを帯びたデザインを取り入れ、空力特性を高めた機能性を洗練さとともに兼ね備える。
また、「無塗装のグリルを提案」(デザイン部)し、環境に配慮した表面処理を採用することにより、製造工程でのCO2削減にも貢献する。
さらにフォグランプとターンランプを一体化した新たなデザインのフルLEDヘッドライトを新規に搭載し、明るさを向上させている。