年内にEV専用プラットフォームを採用した「EQS」「EQE」の2車種を投入
メルセデス・ベンツ日本(上野金太郎社長、本社・東京都品川区)は7月14日、電気自動車(EV)第3弾となる「EQB」を東京都内で公開し、同日から発売した。上野社長は同車を「ユーティリティに優れたEV」と紹介したうえで、新たにEV専用プラットフォームを採用した「EQS」「EQE」を年内に投入すると表明した。(佃モビリティ総研・松下次男)
これまでコロナ禍だったこともあり、新車発表をここしばらくオンラインで行っていたが、今回のEQBの発表会は久しぶりに実車を展示し、対面で開いた。
EQシリーズはカーボンニュートラルに向けたメルセデス・ベンツの経営戦略「アンビジョン2039」に沿って投入するバッテリー電気自動車(BEV)セグメント。
今回のEQBは第1弾の「EQC」、第2弾の「EQA」に続くもので、EQCがオールマイティ型、EQAが都市型をコンセプトにしているのに対し、EQBはユーティリティに優れたEVの位置づけだ。
ベースはエンジン車の「GLB」。日本の道路環境に合うコンパクトサイズながら、長いホイールベースを活かし、大きな荷物の搭載とともに最大7人乗りと使い勝手の良さを両立させたのが特徴だ。
同じSUV市場をターゲットにするEQAとの違いについて、EQAはリアに丸みを帯びたデザインを採用したが、EQBはリアをスクエアにし、ユーティリティを持たせたのが特色という。
上野社長はこうしたEQBの特色について「新しい価値を切り開く」クルマだと強調した。
コンパクトサイズながら7人乗りを実現。航続距離は最大520km
パワートレインは、フロントアクスルに新設計の永久磁石同期モーターを搭載した前輪駆動モデルの「EQB 250」とフロントアクスルに非同期モーター、リアアクスルに永久磁石同期モーターを搭載した四輪駆動モデルの「EQB 350 4MATIC」の2タイプを用意する。
最大出力は前輪駆動モデルが190PS(140キロワット)、四輪駆動モデルが292PS(215キロワット)。
一充電当たりの航続距離は前輪駆動のEQB 250がこれまでのEQシリーズで最長となる520キロメートル(WLTCモード)を実現。四輪駆動モデルが468キロメートルの航続距離だ。充電は、チャデモの急速充電に対応する。
EQBのサイズは全長4685ミリメートル、全幅1835ミリメートル、全高1705ミリメートル。ホイールベースは2830ミリメートルの長さ。
上野社長はEVの販売実績について、半導体不足の影響などがありながらも、2021年度は前年の4倍の伸びになったとし、今年度の上半期についても堅調に推移しているとした。
また現状、日本のEV普及率が諸外国に比べて低いことについては「航続距離が500キロに達するなど、ネガティブな要素を取り除くことで、一気に拡大する可能性がある」と期待感を示した。
このため、年内にもEV専用プラットフォームを採用したフラッグシップモデルのEQSとEQEに2車種を追加投入に、日本のEV市場に攻勢をかける考えを示した。
EQBはインテリジェントドライブや緊急回避補助システムなどの産先端の安全運転支援システムも備えている。
車両価格(消費税込み)はEQB 250が788万円、EQB 350 4MATICが870万円。どちらクリーンエネルギー自動車導入促進補助金65万円が適用される。