新型クロス―オーバーSUVのCX-60、新世代ラージ―商品群の第1弾
マツダは9月15日、新型クロスオーバーSUV「CX-60(シーエックス シックスティ)の発売を開始した。まずマイルドハイブリッドモデルのみの販売だが、実際に車両を体感すると「広くゆったりした室内と高出力パワートレインならではのパワフル、かつ滑らかな走り」が印象的だった。(佃モビリティ総研・松下次男)
CX-60はマツダが新たに展開する新世代ラージ商品群の第1弾。商品本部の和田宜之CX-60主査はラージ所品群技術導入狙いについて「EV(電気自動車)移行期における内燃機関の更なる環境負荷低減」への実現だと強調。加えて、「より上級志向のお客様のニーズを満足する抜群の商品力」を目指したと話す。
実際、試乗した48ボルト(V)マイルドハイブリッド採用の第2世代3・3リットル直列6気筒ディーゼルエンジンを搭載するCX-60は1リットル当たり21・1キロメートル(WLTCモード)の燃費を達成。
1・8リットル・ディーゼルエンジン搭載のCX-3XDと比べて、トルクでは倍以上の力強さを発揮するが、燃費(CX-3は19キロメートルの燃費)に大きな差はない。
まずはPHEVとマイルドHVの二本立て、海外はPHEVモデルを先行販売
CX-60は、2・5リットル直列4気筒ガソリンエンジン搭載のプラグインハイブリッド車の「e―スカイアクティブ PHEV」、3・3リットル・ディーゼルエンジン搭載のマイルドハイブリッド車「e―スカイアクティブ D」。
それに3・3リットル・ディーゼルエンジン搭載の「スカイアクティブ―D3・3」、2・5リットル・ガソリンエンジン搭載の「スカイアクティブ―G2・5」の4グレードが用意されている。
このうち、PHEVとマイルドハイブリッドのe―スカイアクティブ Dはプレミアムグレードの位置づけで、輸入車や国内の高級SUVと対抗する。
今回、国内で発売開始したのはマイルドハイブリッドのe―スカイアクティブ D搭載モデルのみ。その他のモデルは12月以降に販売する予定だ。なお、海外はPHEVモデルを先行販売する。
すでにCX-60は月間2000台の販売目標に対し、6月24日の受注開始から約2か月半で約4か月分の8700台強を受注済み。
このうち、最も受注が多かったのはe―スカイアクティブ D搭載モデルで4割強を占める。次いで、ディーゼルエンジン搭載モデル、ガソリンエンジン搭載モデルの順で、PHEVモデルは5%の受注比率だ。
ターゲットは、CX-5からの買い換え層の獲得と輸入車保有ユーザー
下取り車では、マツダ車が57%の比率で、CX-5、CX-8からの乗り換えが半分を占める。輸入車・プレミアムブランドからの乗り換えも21%の比率だ。
和田主査はCX-60の開発の狙いについて「CX-5からのステップアップを求めるユーザーに選んでもらう」こと、「輸入車を検討する、購入する層への新たな選択肢となる」ことを目指し、この実現に向け開発哲学を進化させたという。
プラットフォームにはエンジン縦置き方式、後輪駆動ベースAWD(世輪駆動方式)を採用。また、ドライビングポジションは捻じれの無い自然な姿勢となる人間中心のパッケージを生かす。
6気筒ディーゼルエンジンでは1気筒ごとに燃費、環境性能の最適化を図り、大排気量に関わらず低燃費化を実現したという。
先進技術では、万が一のドライバーの異常時に、車両を自動で減速、停止し、緊急通報するドライバー・モニタリング、ドライバー異常時対応システムをCX-60に初めて採用した。
同システムは「コ・パイロット コンセプト」として公開していたもので、今回のCX-60への搭載を皮切り、一般的な名称へと変更するとともに、順次、搭載車を広げる計画だ。
マツダはスモール、ミドルクラスに続き、上級車分野へも打って出ることに
また、車両側面の死角部分やバックの際に自分の車両の一部を映し出す機能を備えたシースルービューを搭載する。
道中ですれ違う走行車両、自転車、歩行者、さらに後退駐車時の両隣の車両などをモニターに映し出し、運転にまつわる不安なシーンが解消するものだ。
実際、シースルービューを体感してみると、狭い地下駐車場での取り回しや後退駐車の際に、心強い武器になるという感覚がわかった。
SUV・クロスオーバー分野は今や登録乗用車で最大の市場。そこへマツダはスモール、ミドルクラスに続き、上級車分野へも打って出ることになった。
その第1弾モデルがCX-60であり、走行性能や安全性も競合車と比べて遜色ない仕上がりだ。あとは着実に販売を伸ばすか、注目される。