ホンダが8月5日発表した2021年3月期第1四半期(4~6月)連結決算(国際会計基準)は営業損益が1136億円の赤字(前年同期2524億円の黒字)となった。新型コロナウイルス感染症が拡大した影響を受け、一時世界的に生産・販売活動が休止したのが響いた。未定としていた2020年度の通期業績見通しも公表し、営業利益2000億円(前期6336億円)の黒字を見込んでいる。(佃モビリティ総研・松下次男)
第1四半期のグループ販売台数は四輪車が79万2千台で前年同期比40%減、二輪車が185万5千台で同62・3%減となった。四輪事業は営業段階で約2000億円弱の赤字となったが、二輪事業は112億円の営業利益を達成し二輪事業の強さが光った。
2020年度第1四半期の連結業績は売上高にあたる売上収益2兆1237億円と前年同期比46・9%の減収となった。四半期損益は808億円(前年同期は1723億円の黒字)となった。
4~6期が赤字となったのは「感染が世界的に広がり、4月に生産・販売活動がストップしたのが大きい。現在はすべての地域で生産が再開されており、販売も戻りつつある」と倉石誠司副社長は決算説明会で述べ、通期の黒字化に自信を示した。また1100億円強の営業損益についても新型コロナ感染症の影響約4400億円の試算値や為替の影響108億円分を差し引いた事業ベースでみれば黒字だったと強調した。
新型コロナの影響で厳しさを増すキャッシュ・フローについては、ネットキャッシュの四半期末残高が1兆4195億円と前年同期末に比べ約4000億円減ったが、これで「1・4か月分相当を確保しており、さらに手当てもしている」と述べ、問題ないとの見方を示した。
2020年度通期の連結業績見通しは売上収益12兆8000億円(前期14兆9310億円)、当期利益1650億円(同4557億円)を予想。通期のグループ販売台数は四輪車450万台(前期比6・1%減)、二輪車1480万台(同23・5%減)を見込んでいる。
地域別の動向をみると、4~6月の四輪車販売実績は日本12万9千台(前年同期比5万2千台減)、北米15万9千台(同33万6千台減)、欧州1万6千台(同1万8千台減)、アジア47万3千台(同8万1千台減)、その他市場1万5千台(同4万2千台減)となった。
日本は市場の伸びを上回ったものの、市場が3割強落ち込んだのが響いた。米国は需要が約34%減少したが、ホンダは乗用車市場で首位を獲得するなど27・9%減と市場を上回る販売を達成した。中国は生産休止に伴う市場への供給不足などがあり、前年を下回った。
4~6月の二輪車販売は主力市場であるアジアで157万2千台と前年同期に比べ280万6千台減と大きく落ち込んだ。とくにインドやインドネシアで新型コロナの感染が拡大し、その影響で大きく減少したのが響いた。逆に、コロナの影響が少ないベトナム、タイでは健闘したという。
対して日本は5万台(前年同期比1千台減)、北米6万1千台(同1万3千台減)、欧州6万1千台(同2万3千台減)、その他市場11万1千台(同22万3千台減)の二輪車販売実績だ。
2020年度通期の地域別四輪車グループ販売台数見通しは日本が61万台(前期比6万2千台減)、北米153万5千台(同29万台減)、欧州10万5千台(同2万8千台減)、アジア212万台(同16万8千台増)、その他市場13万台(同7万8千台減)を予想。
二輪車は日本18万台(同2万5千台減)、北米30万5千台(同2万5千台減)、欧州23万台(同9千台減)、アジア1310万5千台(同415万7千台減)、その他市場98万台(同32万4千台減)の見通し。
倉石副社長は新型コロナ感染症の第2波の影響について「不透明」としながらも、「第1波で大きかったのはロックダウンで生産・販売ができなかったこと。これに対し、現状の見通しからは大幅な悪化にはならないだろう」との見解を示した。