ホンダの航空機事業子会社であるホンダ・エアクラフト・カンパニー(Honda Aircraft Company/以下、HACI)は、5月26日開催のオンライン発表会「Innovation Continues: Elite S」で、最新型の小型ビジネスジェット機「ホンダジェット・エリートS(HondaJet Elite S)」を発表した。
ホンダジェット・エリートSでは、運用性能をさらに拡充すると共に、操縦性も向上。機体の最大離陸重量を200ポンド(約91kg)増加させ、より多くの荷物を搭載するか、燃料搭載量を増やして航続距離を最大120ノーティカルマイル(約222km)(※1)まで伸ばせるようになった。
また、アビオニクスシステムがアップグレードされ、無線通信をテキストメッセージで行うFAA Data CommとACARS(※2)、およびパイロットの地上操縦時の負荷を軽減するASASシステムが導入された。
外観デザインでは、新たに3色(ガンメタル、ラックスゴールド、ディープシーブルー)が追加された他、ロゴ・マークには赤で“S”の文字を追加、カラー選択に応じて色のカスタマイズもできるようになった。
※1:積載重量(ペイロード)が650ポンド以上に達した場合、航続距離を延ばすことが可能。
※2:オプション。
[ホンダジェット・エリートSの主な改良点]
① 最大離陸重量を200ポンド(約91kg)増加
・より多くの積載物(ペイロード、または実際に搭載する旅客や貨物の重量)の搭載、あるいは搭載燃料の制限を緩和することで航続距離を最大120ノーティカルマイル(約222km)に延長。
② 重量及び重心移動範囲(Weight & Balance Envelope)の拡大
・安全に飛行するために設けられた重心位置移動許容範囲を拡大することで、積載物の重量の分配における制限も緩和。
③ アビオニクスソフトウェアのアップグレード
ホンダジェットのアビオニクスをベースに、新たな先進的機能を導入。管制官とパイロット間の連絡を、文字ベースのメッセージによるデジタル通信とすることで、正確かつ迅速な通信を可能とし、パイロットの負荷を軽減するほか、機体運用の安全性を向上。
・FAA Data Comm: 米国内で提供されている、データ・リンク(デジタル通信)を使用した出発管制承認に係る一連の機上通信システム。従来の音声コマンドをテキストベースのメッセージングに置き換えることで、コミュニケーションの明瞭性と効率性を向上。
・ACARS(Automatic Communications Addressing and Reporting System):VHF通信や衛星通信を用い、出発地・目的地、便名、天候、および搭載燃料など運航に必要な情報を航空機と地上間で自動的に送受信する通信システム。
・COM3: データ・リンク不使用時に第3のVHF無線チャンネルとして使用する通信手段。FAA Data CommとACARSを選択することで付属される機能。
④ ASASシステム
・ASAS(Advanced Steering Augmentation System)システムの導入により、特定の天候条件下での運用性能を高め、パイロットの負荷を軽減するほか、機体運用の安全性をさらに向上。
⑤ 機体カラーに新たな特別色を追加
・ガンメタル(Gunmetal)/ラックスゴールド(Luxe Gold)/ディープシーブルー(Deep Sea Blue)の3色を追加。
・ロゴに、赤の“S”の文字を追加し、エクステリアカラーの選択に応じて色をカスタマイズできるオプションを追加。
ホンダジェット・エリートSの発表に際して、ホンダ・エアクラフト・カンパニー取締役社長の藤野道格氏は、以下のように述べている。
「2018年のホンダジェット・エリート販売開始以来、同クラスの小型ビジネスジェット機を上回る性能と効率性をお客様に提供してきました。ホンダジェット・エリートSへのアップグレードにより、さらなる価値をお客様にお届けします。新しいエリートSがもたらす革新、設計、および最先端のエンジニアリングにより、今後もビジネス航空業界において、新たなスタンダードを確立してまいります」。
[会社概要]
– 会社名:ホンダ エアクラフト カンパニー(Honda Aircraft Company,LLC)
– 設立:2006年8月
– 出資形態:American Honda Motor Co., Inc. 100%出資
– 代表者:取締役社長 藤野 道格(ふじの みちまさ)
– 所在地:米国ノースカロライナ州グリーンズボロ市