フォルクスワーゲンAGは、6月3日、EVレーシングマシン「ID.R」が、独サーキットのニュルブルクリンクで電気自動車の世界最速ラップを樹立したことを発表。ロマン・デュマ選手のドライビングで、以前の世界記録を40.564秒更新する6分05.336秒の新記録を達成した。
ID.Rは、同社が将来的に市販EVのIDシリーズにおけるフラッグシップカーとなるモデルの開発を目指して製作したレーシングカー。
2018年6月には、北米の公道レースであるパイクスピークに参戦し、7分57.148秒の大会記録を樹立。同年7月には、英国グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードにも出場し、43.46秒のEVレコードも記録している。
パワートレインに2基の電気モーターを搭載し、高密度のリチウムイオンバッテリーを採用する同車両は、最高出力500kW(680ps)ものパワーを発揮。ボディにはカーボンファイバーを多用することで車体を軽量化している。
加えて、今回ニュルブルクリンクで新記録を達成したマシンは、昨年2度のレースに出場した車両をベースに、空力特性を今回のコースに合わせ、最適なダウンフォースなどが得られるように改良した仕様だ。
トヨタが、クラウンや新型スープラなどのテストに使用したことでも知られるニュルブルクリンクで行われたタイムアタックは、ノルトシュライフェ(Nordschleife)と呼ばれる全長約20kmの北コースで実施。
ドライバーは前回2度の挑戦同様ロマン・デュマ選手(写真下)が担当、平均速度204.96km/hで走行し、前述の通りEV最速のラップタイム6分05.336秒を記録を達成した。
フォルクスワーゲングループ取締役会長Herbert Diess氏のコメント。
「ニュルブルクリンクのノルトシュライフェは、世界で最も要求の厳しいレーストラックであるだけでなく、量産車の究極のテストコースだといえます。ID.Rは、そのような舞台で、史上最速のエミッションフリー走行を実現したのです。
これにより、フォルクスワーゲンが手掛けるe-モビリティには『ニュルブルクリンクお墨付き』の優れた性能を持つことが証明できました」
【参考動画】
Volkswagen ID.R sets new electric record on the Nürburgring/Volkswagen Motorsport公式Youtubeチャンネルより