車載機器の計測・評価支援等を手掛けるDTDインサイトは、組み込みソフトウェアの品質証明として必須のトレーサビリティ管理に特化したツール「microTRACER(マイクロ・トレーサー)」を、7月11日〜7月13日にポートメッセなごやで開催された「人とくるまのテクノロジー展2018名古屋」で展示。
トレーサビリティ管理は、自動車分野の機能安全規格「ISO26262」をソフトウェアで認証取得するための要件となっており、かつ2019年に「ISO26262」第2版がリリースされることもあって、会期中はこのツールにかなりの注目が集まっていた。
同社の「microTRACER」は、ソフトウェア開発で作成された作業成果物(ファイル)に「タグ」と呼ばれる識別文字列を埋め込み、タグとタグを関連付けることにより、作業成果物の間の関係性を表現するトレーサビリティ管理ツールだ。
前述の通り、トレーサビリティ管理は、ソフトウェアで「ISO26262」の認証取得を受けるための要件。
ちなみに「ISO26262」とは、自動車に搭載される様々な部品の中で、センサーからECU(制御装置)、アクチュエーターやモーター等といった一連のシステムに含まれている、電気・電子機器などのハードウェア/ソフトウェアを対象とした安全規格のこと。
エンジンからサスペンション、ブレーキ等の走行や安全に関わる装備から、キーレスエントリーやカーナビ等の快適装備に至るまで、今や電気・電子機器は自動車に必要不可欠なもので、その搭載数も増加傾向。その分、機能不全等が起こると、重大な事故等の原因になる可能性もある。
「ISO26262」は、これら電気・電子機器が機能不全等によりドライバーや乗員、交通参加者等への危害を及ぼす危険を、許容可能なレベルに低減するという考え方から2011年に制定されたのものだ。
また、トレーサビリティ管理とは、ソフトウェア要件の定義(要求分析)、設計、実装、テストといった各工程(ソフトウェアプロセス)間の作業成果物の関係性を一元管理し、設計・製造・保守上のトラブルが発生した際に、すみやかに問題の原因を追跡(トレース)できるようにすること。
自動車メーカーはもちろん、部品サプライヤーに関しても「ISO26262」認証取得のためには、このトレーサビリティ管理は、開発時に今や必須といえるものだ。
また、2019年に出る「ISO26262」第2版では、トラックやバス等の商用車やオートバイ等、適用車種が広がることが決まっているため、新たにトレーサビリティ管理が必要なメーカーやサプライヤーは増えることは間違いない。
加えて、EVや自動運転車、センシング技術の普及等により、今後さらにトレーサビリティ管理が必要な電気・電子機器の種類は増えることが想定される。