電機メーカーのサンデングループ傘下であるサンデン・アドバンストテクノロジー(以下、サンデンAT)は、6月21日、ゼロイースクエアが参加する北米公道レース「パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム」(コロラド州・現地6月25日~30日)に使用するEV向けに、「レース用リチウムイオンバッテリー温度管理システム(以下、温度管理システム)」を開発したことを発表した。
パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムとは、米国コロラド州ロッキー山脈東端に位置する、パイクスピークと呼ばれる山を舞台に行われるヒルクライムレース。
ガソリン車はもちろん、近年はEVの4輪車・2輪車も数多く参戦しトップタイムに近いタイムを残すなど、同レースにおけるEVの注目度は年々高まってきている。
そのレースで今回サンデンATが協賛し、温度管理システムを提供するのがゼロイースクエアが運営するチーム「Samurai Speed」。
同チームは、今回ニッサン・リーフe+をベースとした車両で、タイムアタック部門に参戦。
車両は既に現地に送られており、6月25日から6月28日の公式練習を経て、6月30日に決勝が行われる。
今回、温度管理システムが開発された背景には、EVの航続距離を拡大することに伴い、車載バッテリーの大容量化が進んできたことが挙げられる。
より大容量のバッテリーを搭載すると、問題が出てくるのが熱問題。EVをより遠距離まで走らせ、安全かつ効率良く利用するためには、駆動モーターやバッテリーからの熱を統合的に制御する熱マネジメントシステムが必要不可欠になってきているのだ。
特に、レースでは一般道以上に過酷な使用条件となるため、温度管理システムは非常に重要な役割を果たすことが期待できる。また、そういった技術は、将来的に一般車両へフィードバックさせれば、EVのさらなる安全性や性能の向上を図ることも可能となる。
今回、サンデンATでは、レース車両へ搭載する前に車内検証用EVを用いて温度管理システムを開発。上り坂の高速走行を想定した高負荷条件下において、バッテリーの温度上昇を従来の40%以下へ抑えることに成功している。
今後、サンデンATでは、今回のレース参戦により取得した電動車両データの解析を行うなどで、新たな熱マネジメントシステムの開発及び商品力向上を目指す予定だ。