トランスミッション用電動オイルポンプも国内初
なお、今回の展示会で同社は、他にもトランスミッション用電動オイルポンプを日本初公開した。
トランスミッションに使われるオイルポンプは、変速を行う際に必要な油圧を制御するためのもので、従来はエンジンからの動力で作動する機械式が主流。
新型のトランスミッション用電動オイルポンプは、この機械式と併用することを前提に開発された電動モーター内蔵のポンプだ。
従来の機械式オイルポンプの課題は、例えばHEVやPHEVがエンジンを停止させモーターのみで走行するEVモードの際、オイルをトランスミッション系の制御・冷却・潤滑のために供給できないこと。
そのため、例えば、高速道路で前車を抜くためにアクセルを踏み込み再度エンジンを始動させた際、ギア比が最適となるにはタイムラグが発生する場合があり、滑らかなで自然な加速ができない場合があった。
そこで、この電動オイルポンプがEVモード中もオイルをトランスミッションへ供給することで、エンジン停止時から始動後まで、常に最適なギア比にすることが可能となる。
また、コースティング機能を持つ内燃機関車両も同様。フォルクスワーゲンやアウディ、ボルボなどのAT車に採用されているコースティングとは、走行中にアクセルをオフにするとエンジンが停止し、車両をいわゆる滑走状態で走らせ燃費を向上させる機能だ。
通常、このコースティング時にはエンジンが停止しているため、やはり従来の機械式ではトランスミッションのオイル制御などが不可能(変速ができない)。そこで、当電動オイルポンプの採用により、エンジン停止時でもトランスミッションのオイル制御が行えるようになり、常に最適なギア比での走行が可能となる。
加えて、コースティング時も変速が可能となれば走行効率も向上するため、結果的にコースティングの距離が伸びる、すなわちエンジン停止時間が長くなるため、さらなる燃費向上に繋がる効果も期待できる。
なお、当製品はまだ試作段階で、今回は機械式との併用を前提としているが、今後は電動式のみ単独での搭載なども視野に入れ、さらなる開発を進めていく方針だ。