ABボルボ傘下のボルボ・トラックは9月3日( スウェーデン イェーテボリ発 )、来年に1回の充電で最大600km走行可能なFHエレクトリックの新しい長距離バージョンを発売することを明らかにした。
これにより、運送会社は地域間および長距離ルートで電気トラックを運用し、充電せずに1日中運転できるようになるという。新しいボルボFHエレクトリックの具体的な発売時期は、2025年後半が想定されている。
このFHエレクトリックの新しい長距離バージョンについて、ボルボ・トラック社長のロジャー・アルム氏は、「同製品は、当社のEVトラックの製品ラインナップを補完する製品となり、たとえ長距離輸送であつても排気ガスゼロでの輸送を可能にします。トラックの年間走行距離が長く、CO2削減に強い関心を持つ輸送会社にとって、同車両は素晴らしいソリューションとなるでしょう」と述べた。
今回、600kmの航続距離を実現した背景には、ボルボの新しいドライブライン技術にあり、その立役者はe-アクスルが果たす役割が大きかった。
これにより、車載バッテリー容量を大幅に増やすスペースが生まれ、それが効率的なバッテリー搭載を可能にした。更に改善されたバッテリー管理システムやパワートレインの全体的な効率化も航続距離の延長に貢献しているという。
現在、ボルボ・トラックは、8 つのバッテリー電気モデルをポートフォリオに持つ中型および大型電気トラックのリーディングカンパニーになりつつある。
この幅広い製品ラインナップにより、都市および地域の配送、建設、廃棄物管理領域でも活用され、今後は一定の長距離輸送も担えるようになる。そんなボルボ・トラックは、これまでに世界46か国の顧客に延べ3,800台超のBEVトラックを納入してきた。
先のロジャー・アルム社長は、「輸送部門は、世界の炭素排出量の7%を占めています。そうしたなかでBEVトラックは、気候への影響を減らすための重要なツールです。
BEVトラックは、環境上での優位性をもたらすことに加えて、車両の騒音や振動のレベルが大幅に低下し、トラック運転手にとっては、これまで得られなかった快適な運転環境が実現します。
我々は長年、化石燃料を使用しない輸送への移行を推し進めることで、来たる2040年までにネットゼロの排出目標を達成します。そんな当社の環境に係る技術アプローチは、グリーン水素、バイオガス、HVO (水素化植物油) などの再生可能燃料で稼働する車両生産技術にあり、その実現を、蓄電池、燃料電池、新世代の内燃エンジンで取り組んでいます」と結んでいる。