ホログラフィック・ディスプレイ Looking Glass 用 REMO アプリのプロトタイプを開発
スリーディー(本社: 横浜市、代表取締役社長: 彦坂 隆)は、リアルタイム3次元CGによる裸眼立体視応用の実証検討のため、Looking Glass Factory社製のホログラフィック・ディスプレイLooking Glass向けに同社のリアルタイム・レンダリング・エンジン「REMO(リモ)」を用いたアプリのプロトタイプを開発したと発表した。(坂上 賢治)
この多眼式裸眼立体視ディスプレイは、複数枚の視差画像を空間上に配置し、そのうちの 2 枚(右目、左目用)の視差画像を両目で見ることで立体感を与える方式。
Looking Glassは、多眼式裸眼立体視ディスプレイであり、正面から見て水平方向 約 50 度の角度内(視野角)を最大45視点に分割。それぞれの視点に対応した画像(多視点画像)を最大 60FPS(フレーム/秒)で表示して鑑賞できるようになっている。
このため視点数が多くなることで、鑑賞する位置が多少前後左右に移動しても、正しい視点位置に目が合いやすく立体映像を見ることができるのが大きな特徴だ。
ちなみに2012年に設立されたスリーディーは「グラフィックス技術を通じて世の中に喜びを届ける」というミッションを掲げ、リアルタイムグラフィックス技術を核に画像処理、ハプティクス、デジタルヒューマンなどを用いた開発や3DCGコンテンツ制作を得意とし、これを強みに自動車、医療機器、各種産業、大学・研究機関向けのエルゴノミクス設計支援等に貢献している。
今後、同社はこのプロトタイプアプリの基に、実製品への応用に加え立体視ディスプレイの実用化を検討している企業との協業開発を目指す構えだ。
ベンチマーク比較により他社製グラフィックスエンジンを20%上回る表示速度の高速化を実現
同社では「近年、Looking Glass等、多眼式の裸眼立体視ディスプレイの製品化やプロトタイプの発表が相次いでおり、今後、商用利用されるケースが増えていくことが予想されています。
しかし裸眼立体視用の3次元CGコンテンツをリアルタイムに表示するためには、多視点画像を高速に表示することなど、高い負荷の計算が要求されるため、モデル、エフェクト等コンテンツの表現の仕方を制限しなくてはならないことが課題となっています。
そうしたなか当社は10数年来、立体視ディスプレイ用アプリケーションの開発に取り組んでおり、これまで新しい方式の立体視ディスプレイの実証検討を行なってきました。
この度、Looking Glass用REMOアプリのプロトタイプを開発し、多くのLooking Glass用アプリ開発で使用されている他社製グラフィックスエンジンで開発されたアプリと表示速度のパフォーマンス測定値を比較した結果、他社製グラフィックスエンジンのアプリは133フレーム/秒であるのに対して、REMOアプリの表示速度が159 フレーム/秒と「約20%上回る」ことを確認。コンテンツの表示速度の高速化が実証され、Looking Glass用コンテンツの表現の幅が拡がる可能性を見出すことができました」と話している。
なおリアルタイム・レンダリング・エンジンREMOとは、3次元 CG を高速に描画するために開発されたOpenGLベースのリアルタイム・レンダリング・エンジン。描画を行なう際の計算処理には、GPU(Graphics Processing Unit)を利用するため、GPUの性能に応じて高速化される仕組みになっている。