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2018年10月3日【オピニオン】

第4次安倍改造内閣の新国家公安委員長、交通事故抑止に意欲

中島みなみ

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国家公安委員長、国土強靭化担当及び防災担当大臣 山本順三新大臣(左)と小此木八郎旧大臣(右)/3日・内閣府にて。撮影=中島みなみ

 

山本順三・新国家公安委員長、交通事故死者数、2020年までに2500人以下迫れるか

 

 第4次安倍改造内閣の新閣僚で、国家公安委員長に山本順三氏が任命された。3日、併任の防災担当相として、小此木八郎前委員長との新旧大臣引継式に臨んだ。

 

「この1年は災害が多かったが、新大臣の任期中にはそのようなことがないよう(祈ります)。ぜひ力を発揮していただきたい。いつでもお手伝いに参ります」と、小此木氏が話しかけると、山本氏がこう応じた。

「愛媛県選出の議員として大臣室にお願いに来たことを思い出した。その場に私が座ることになった。災害に強い国土づくりに、築き上げていただいた流れに基づいて、緊張感をもってその任に当たりたい」

 

 山本氏は2004年参院選で愛媛選挙区から立候補して初当選。参院国会対策副委員長や復興副大臣などを歴任した。国会議員前は早大卒、川崎製鉄、愛媛県議を6期務めた。警察行政を監督する公安委員会として交通行政にどう臨むか。この前夜、山本氏は就任後の会見で、こう話している。

「昨年の交通事故死者数は、統計以来最少となったが、今なお尊い命が失われていることには変わりがない。交通事故のない安全で安心な社会の実現は、国民すべての願いであり、政府の重要な課題」

 

具体策として、4つのポイントを上げた。

・子供や高齢者に対する交通安全教育

・悪質、危険な交通違反の指導取締り

・高齢運転者の事故防止対策

・自動運転等の先端技術の普及、活用等の対策

 

特に悪質運転については「あおり運転は撲滅していかなければならない」と述べ、さらに自動運転についても「技術を推進していく立場と、安全を守っていく立場、両面から対策を講じていかなければならない。たいへん重要な課題」と位置付けた。

 

 安倍晋三首相を会長とする政府の中央交通安全対策会議では、交通事故死者数の削減目標を2020年までに2500人以下に減らす(2016~2020年度の第10次計画)ことを決めている。目標達成により人口10万人当たりの死者数が世界最少になるからだが、山本氏が就任会見で触れた統計史上最低の昨年1年間で3694人だった。達成期限までの残された時間を考えるとかなり難しい状況だ。

 

交通事故抑止は複数の省庁が関係し、国家公安委員会が指導する警察だけに留まらないが、自動運転の実用化を促進することによる事故減少への期待は高まる一方だ。自動運転はメーカーの技術以上に、法規制を含めて社会に受け入れられる雰囲気が作られなければ、普及は見込めない。山本氏が重要な課題と位置付ける理由もそこにある。(取材執筆:中島みなみ/中島南事務所)

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。