現段階で、テスラに関してその可能性と成果の実現についてはまったく未知数だが、新型EV「モデル3」の生産目標を達成するために、テスラは敷地内の駐車場13万7,250平方フィートに、全長は1,000フィート・幅150フィート・高さ53フィート(1フィートは0.3048メートル)の白いテントを張って、新たな生産ラインを設置。
このわずか2週間の期間で設けた巨大テント内の追加生産ラインを既存の生産ラインに加えて、週5,000台の安定生産を精力的に目指している。さしずめマスク氏は、先のスペースX同様、より自由かつハンドリング性の高い経営環境を手にして、自らの経営手腕をより存分に発揮したい意向のようである。
(追加)なお本記事上稿後の米国時間8月13日、マスク氏は自社サイトに於いてサウジアラビアの政府系投資ファンドであるPIFこと「Public Investment Fund」と交渉の可能性があるとの情報を発信している。実際PIFはこれまでのテスラへの投資行動を考えると、同社に対する投資意欲が旺盛であることに間違いない。また、もとより同国は現在の石油に依存しきった国家経済からの離脱を強く求めており、米国内のEV事業で先頭を走るテスラにさらなる資金投入するだけの動機もある。
ただ仮に、この動きが真実であると仮定し動き始めるにしても、そこで巨額の資金が動くためにヘッジファンド勢などの抵抗勢力の思惑の他、もとよりマスク氏が予てより希望している安定株主がどれだけ確保できるかなどの不確定要素が多い。そこには個人投資家だけでなく、保有株に対して保有制限が掛かりかねない大口の機関投資家の存在もある。今後、サウジアラビアがEV技術に関して存在感を示し、この分野のキャスティングボードを握るまでに至るのか。暫くは今後の動きに注視していきたい。
( MOTOR CARS )