ちなみに検察当局は、この6月に入ってからアウディ社内に対する捜索活動を拡大していた。そもそもシュタートラー氏はそれ以前より、詐欺や虚偽広告容疑で家宅捜索を受けており、元々同氏がグループの販売責任者も務めていたことから、違法ソフトウエアを搭載した乗用車の存在を知りつつも欧州市場で販売したことへの関与が疑われている。
これまでの一連の捜査のなか、拘束に至ったグループ関連社員のなかで、今回のシュタートラー氏が最も地位の高い幹部となった。同問題に関しては、米国内での不正捜査が主体となって進められてきたが、ドイツ国内に於ける同問題の措置については、同国内産業を基礎を支える自動車業界の不祥事であることから、行政当局の動きも極めて慎重。従って永らく解明に至る道程での停滞状態が続いていた。
当初フォルクスワーゲンAGとアウディAGの取締役会は、シュタートラー氏がインゴルシュタットの自宅で拘束されるとの報告を受けて、同氏不在のアウディの経営方法について話し合ったのだが結論に至らず、結局、翌日拘束されたシュタートラー氏自身が、アウディAG及びフォルクスワーゲンAGの監査役会に対して、自身の両社の取締役の任を解くように依頼し、両社の監査役会が、これを承認した形となった。