消防車メーカーのモリタが川崎重工業の協力を得て開発した「小型オフロード消防車レッドレディバグ(Red Ladybug)」が10月3日、公益財団法人日本デザイン振興会主催の「2018年グッドデザイン・ベスト100」を受賞した。(坂上 賢治)
開発された車両は、株式会社モリタホールディングス(本社:大阪/東京、代表取締役社長:尾形和美)と傘下の株式会社モリタ(本社:兵庫/東京、代表取締役社長:尾形和美)及び株式会社モリタテクノス(本社:兵庫、代表取締役社長:中川茂)が、川崎重工業株式会社(本社:東京、代表取締役社長執行役員:金花芳則)から提供された車体並びに骨格などをベースとしたもの。
この小型オフロード消防車は、オフロード路面での高い走破性を武器に、一般の消防車では進入困難な瓦礫や土砂崩れ等の災害現場へ自走での進入が可能な仕様となっている。
また該当車両は、大型特殊自動車としてナンバーを取得できるため公道走行が可能。したがって突発災害だけでなく「普段の消防活動」でも運用可能なオールラウンドの消防車となっている。
ベース車両には先の通りで、高度なオフロード能力と安定した乗心地を備えた川崎重工業の多用途車「MULE PRO-FX(EPS)」を基としており、3名乗車を可能にして円滑な消防活動に最適化させた。なお後部には積載重量350kgの消防機能を搭載できる。
モリタが同車両を開発した動機は、近年多発する突発災害が切っ掛け。昨今、日本各地で地震・台風・ゲリラ豪雨による被害。土砂・雪害・火山・山林火災などの災害が各地で発生している。
このよう環境下で全国の消防関係者にヒアリングを行ったところ、近年増加する突発災害でオンロード仕様の通常消防車は、亀裂路面や土砂が流れ込んだ路面、浸水路面、積雪路面で災害現場に到達することが困難であるため、迅速に現場まで到達できる消防車でひとりでも多くの命を助けたいという想いから造られた。
モリタでは、「地域の消防隊員すなわちヒーローが乗る消防車として、この消防車が来たら助けてくれると感じて頂ける存在でありたいとの想いを込めてデザインしました」は話す。
対してグッドデザインの審査委員は、こうした車両開発の考え方を踏まえ「走破性能や積載性能などの様々な要求を考慮した結果、あえて国内販売していない車両を選んでいる。
それによって小型軽量化を追求しつつも、必要不可欠なな装備をユニット交換する独創的な構造を採用するなど、革新的な発想に感心する。ベース車両の雰囲気を活かし、小柄ながら頼り甲斐ある造形に仕立てたデザインも賞賛したい」と述べている。
なお受賞車両は、2018年度グッドデザイン賞を獲得したものから審査委員が個人的に気に入った製品を紹介する企画展「私の選んだ一品展」他、「GOOD DESIGN EXHIBITION 2018」にも出展される。開催日時・場所等の指定は以下の通り。
展示会名:私の選んだ一品展
※受賞作から審査委員が推薦するデザインを紹介する
– 開催日時:10月3日~4日/11時~20時
– 開催場所: GOOD DESIGN Marunouchi (東京都千代田区丸の内3−4−1新国際ビル1F)
– 入 場 料 : 無料
– 展示内容:製品紹介ムービーの放映、パネル展示
展示会名:GOOD DESIGN EXHIBITION 2018
※受賞デザインを一挙に展示・紹介する
– 開催日時:10月31日4日/11時~20時(最終日のみ 18時まで)※入場は閉会時間の 30 分前
– 開催場所: 東京ミッドタウン キャノピー・スクエア 「BEST100 Mobility Exhibition」(東京都港区赤坂 9-7-1)
– 入 場 料 : 1,000 円(税込・5 日間有効)/大学生以下無料
– 展示内容: 車両、パネル展示