モレックスとサルバニーニ、工場のスマート化に向けて協業
コネクターなど通信ソリューションの基盤製品を手掛けるモレックス は10月13日、目下、イタリア板金加工機メーカーのサルバニーニ ( Salvagnini ) との協働で、産業オートメーションソリューション開発での実績造りに取り組んでいる事を公開した。( 坂上 賢治 )
イタリア、サレーゴに本社を置くサルバニーニは、パンチングマシン、パネルベンダー、プレスブレーキ、ファイバーレーザーカッター等の板金加工システムを7,000台以上、国別では75か国以上の出荷実績を持っている。
またサルバニーニ本体も世界5か所の工場、35か所のサービスセンター、23か所の事務所に1,992名の従業員を擁し、世界各地の顧客向けにカスタマイズしたソリューションを提供している。
そこでサルバニーニは、現場のオペレーターと設備機器を中核としたシームレスな作業連携を目指し、クラウドベースアプリケーション上で相互間のリアルタイムなデータのやりとりを推し進めるべく、モレックスとの協業を深めた。
産業用イーサネットアーキテクチャに関するノウハウを提供
そんなモレックスは、サルバニーニ との協業例のひとつとして、狭い空間であっても確実な高速通信を可能にするべく、従来のバヨネット方式コネクターとは異なる樹脂射出成形による一体型コネクターを提供。通信のバックボーン領域でも、産業用イーサネットアーキテクチャに関する技術ノウハウを提供した。
更に、サルバニーニのL3およびL5ファイバーレーザー切断機の加工テーブルに設置した材料を撮影するカメラの接続用に、全く新しい単線ケーブルソリューションも設計。
切断機に搭載されたカメラからの画像は、ソフトウェアを経由してDFX形式 ( Drawing Exchange Format ) のベクターファイルとして転送され、新規ネスティングの開始フォーマットを画面上に高速に表示されるようにした。
なお今後は、より高性能のフレキシブルオートメーションを実現させるべく、はんだレス端子や円型ケーブル、産業用電子部品に於ける技術提供と組み合わせて、装置診断機能の向上とトラブル時間の修理時間短縮についても研究を進めていくとしている。
広範な産業用通信ポートフォリオで柔軟な産業用オートメーションを目指す
こうした両社の取り組みについて、サルバニーニのアレッサンドロ・バーノ ( Alessandro Bano ) コモディティ・マネージャーは、「当社のシステムは複雑で、供給先の国ごとに異なる高い品質基準と各種認証への適合や規則の遵守が要求されます。
また工場に設置した板金加工システムとクラウドサーバー間の、高速接続とセキュアな通信も保証する必要があります。
そうした場面で、モレックスの製品品質の高さとチームの迅速な対応は素晴らしく、当社の生産オペレーションや顧客へのアプローチ方法についても、充分なアドバイスを提供して貰える事が出来ました」と述べた。
インダストリー4.0達成を果たすべく過酷環境に応えるコネクターを開発
加えてサルバニーニの技術部門の責任者、ブルーノ・サンビ氏 ( Bruno Sambi ) は、「我々は今後も、新たなソリューションの開発を進めると共に今後出てくるかもしれない問題について、共に解決を図り、これからもお互いに高め合って、未来に必要な価値を創出していければと考えています。
そうした意味で、モレックスとの協働関係が将来的にも更に深まり、より革新的で高性能なソリューションが実現される事について当社は強く期待しています」と話している。
対してモレックスのジョン・ニューカーク ( John Newkirk ) インダストリアル・ソリューションズVP兼GMは、「今回の協働に於いては、まず弊社の既存のコネクター、ケーブル、コードセットを紹介しました。
そもそもサルバニーニ社と当社は、エレクトロメカニカル機器とコネクターをそれそれに専門としている事から、今後、必要となる接続機器に関して、相手の長期的なニーズと要望をスムーズに把握・共有する事が出来たのだと考えています」とコメントしている。