国土交通省は、3月19日、国連の自動車基準調和世界フォーラム(WP29)第177回会合において、自動運転車の国際基準作りに向けた優先検討項目リストが合意されたことを発表した。
WP29は自動車安全・環境基準の国際調和と認証の相互承認を多国間で審議する唯一の場であり、日本も積極的に参画しているフォーラムだ。今回の優先項目合意がなされた第177回会合は3月11日から15日にスイス・ジュネーブにて開催されている。
国土交通省の資料より抜粋
同省によると、そのWP29の中で日本は、自動運転車に関する基準等について検討を行う各分科会等の共同議長又は副議長として議論を主導している。
そして、今般、日本及び欧州の共同提案を基に、優先検討項目リストが合意され、自動運転の枠組み(国際的なガイドライン等を含む)、自動運転に求められる機能等7項目について、国際基準等の策定に優先的に取り組んでいくことが合意されたという。
特に、国際的なガイドラインについては、日本、米国、欧州等各国のガイドラインに基づき、策定が進められており、次回のWP29においてさらなる議論が行われる予定だ。
また、その他の検討項目については、日本が共同議長等を担う各分科会等において、具体的な要件を議論するべく、引き続き主導していくという。
今回合意された優先項目は、主に自動運転の枠組みや求められる機能の策定、安全性能確認の手法、サイバーセキュリティなど。詳細は以下の通りだ。
国土交通省の資料より抜粋
なお、今回の会合では、他にも、日本が共同議長として議論を主導した「大型車の側方衝突警報装置」の国際基準も成立。
ここで言う側方衝突警報装置とは、左側方の自転車を検知し、左折時の衝突の可能性がある場合に視覚及び音により運転手に警報し、左折巻き込み事故を予防するための装置。
国土交通省の資料より抜粋
自動車対自転車の事故においては、巻き込み事故が多く、特に大型車は死角が多く自転車を見落としやすい等から、当該装置の普及により左折巻き込み事故の削減が期待されている。
今回成立した国際基準では、対象となる車両は車両総重量8トン超の貨物自動車で、時速30km/h以下で走行中に左側方を走行中の自転車を検知できることなどの要件が決定。また、装置の具体的な検知範囲なども定められた(下参照)。
国土交通省の資料より抜粋