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2022年9月30日【ESG】

みすほリースら6者、EVモーターズ・ジャパンへ出資

坂上 賢治

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EVMJのEVコミュニティバス(F8 series-4 Mini Bus)

 

 

EVMJ、シリーズCラウンドで合計12.3億円規模の資金を調達

 

みずほリース( 本社:東京都港区、代表:津原 周作 )、は9月30日、第三者割当増資を行ったEVモーターズ・ジャパン( EVMJ /2019年創業、本社:福岡県北九州市、代表取締役:佐藤 裕之 )に出資した。( 坂上 賢治 )

 

この出資概要は、みずほリースからを含む以下、アイティーファーム( 本社:東京都新宿区、代表:黒崎 守峰 )、EEI4号イノベーション&インパクト投資事業有限責任組合( 本社:東京都品川区、代表:河村 修一郎、/追加資金調達 )、FFGベンチャー投資事業有限責任組合第2号( 本社:福岡県福岡市、代表:吉田 泰彦、/追加資金調達 )、三井住友信託銀行( 本社:東京都千代田区、代表:大山 一也 )、山梨中銀SDGs投資事業有限責任組合( 本社:山梨県甲府市、代表:簗田 裕彦 )から、EVMJが調達した合計12.3億円規模のCラウンドに於ける調達資金となっている。

 

 

この結果、9月30日時点でEVMJによる全ラウンド合算の資金調達は、総額29.55億円となったが、この段階では、今Cラウンドの資金調達活動は引き続き継続中となっている。

 

ちなみに今回、資金調達を行ったEVモーターズ・ジャパンことEVMJの創業者・佐藤 裕之氏は、日鉄エレックスでリチウムイオン電池充放電エンジニアとして活躍。世界初の発熱しないAC回生方式充放電電源とLi-Ion電池の充放電装置を世に出した事を筆頭に、リチウムイオン電池の充放電応用システム開発企業として30年以上の実績がある。

 

EVモビリティのファブレス企業から電力事業を包括した国内発信型企業を目指す

 

より詳細な足跡では、同社の前身とも言えるソフトエナジーコントロールズ時代( 2009年設立 )以降の2010年代を通して同社は、その蓄電・充電を筆頭とするエレクトロニクスマネジメント技術を応用。東日本大震災での知見を糧にその翌年となる2012年からは、自社設計のEVバス車体を中国企業に依頼して国内導入・販売を目指して来た言わば〝ファブレス企業〟であった。

 

EV路線バス(F8 series-2 City Bus)

 

ただ昨今では、福岡県北九州市にEV専用のテストコースを設けた量産EVの最終組立工場建設を計画中で、ファブレス体制から独自の生産工場を持つ事を介して、EVの販売のみならず、電動車を運用するための自立的な電力ソリューションの構築を包括した新エネルギー社会の実現を目指している。

 

今回・資金投入した、みずほリースでは、「世界的な脱炭素社会の実現に向けて、再生可能エネルギーの導入が加速する中、再生可能エネルギーで発電されたエネルギーを蓄電し不安定さを補う蓄電池の重要性が高まっています。

 

GVW 2.7ton コンパクト e物流車 E5

 

また自動車を始めとした電動モビリティのニーズが高まっている事から、EVの普及拡大に向けた安定的かつ効率的なエネルギーマネジメントが求められています。

 

そした時代背景を鑑み、第6次中期経営計画にて環境・エネルギーを注力分野の一つと定めている当社は、EVモーターズ・ジャパンが開発・製造するEV及び充放電器関連製品の導入に於ける課題解決。車載用蓄電池等のリユース及びリサイクルビジネスの実現に共同で取り組む事を目的に業務提携を締結しました。

 

eスローモビリティ型式:LT-S4.PBF

今後は、EVモーターズ・ジャパンとの協業により、EVの利便性向上と車載用蓄電池を活用した新たなソリューション開発を行い、EVの普及と再生可能エネルギーの拡大を介してサステナブルな社会を目指して進んで参ります」と述べている。

 

更に同じく出資したアイティーファーム ジェネラルーパートナーは、「当社はベンチャーキャピタルとして20年以上に渡り、国内外の革新的テクノロジーに出資及び国際事業開発支援を行い、Zoomやトレジャーデータなど世界トップレベルの案件にも各社創業初期から携わって参りました。

 

OAK(オーク)/Bange(バンジ)

 

EVモーターズ・ジャパンは商用EV分野で日本のみならずアジアなど海外にも展開可能な提供価値を有しており、脱炭素ハードウェアに留まらないモビリティデータ・プラットフォームとしての潜在力にも期待が持たれています。

 

当社は、ハイテク分野に於ける長年の海外投資家ネットワーク及び海外経営者ネットワークを通じ、同社のグローバルな事業拡大をアクティブに支援して参ります」と語っている。

 

CHAdeMO ver2.0に準じた急速充電器

軽量・薄型の柔軟型ソーラーパネル

 

ひとつの企業活動からサステナブルな世界を目指すという企業活動へ6者が賛同へ

 

三井住友信託銀行は、「当社は、〝信託の力で、新たな価値を創造し、お客さまや社会の豊かな未来を花開かせる〟を存在意義とし、社会的価値創出と経済的価値創出の両立を目指されるお客様を金融取引等を通じて支援しています。

 

EVモーターズ・ジャパン様は商用EVの展開を通して、脱炭素・脱化石燃料のみならず、防災力強化、電池産業振興等の社会課題解決に取り組まれています。当社はこうした取組に共感し、今般EVモーターズ・ジャパンへ出資させて頂く事と致しました。

 

金融支援の他、テクノロジー・ベースド・ファイナンスチーム( 環境エネルギー分野の有力技術・サービスの社会実装を支援する専門チーム )の知見も活用し、同社の企業価値向上、インパクト創出・増大をサポート致します」と話している。

 

最後に山梨中銀経営コンサルティングは、「EVモーターズ・ジャパン社は、卓越したバッテリー制御技術を基に、優れた電費と長い航続距離を実現する電気商用車を開発しました。

 

車両からは創業者の佐藤さんを始め、社員の皆さまの〝電動車への思い〟が感じられます。今後、バスを始めとして、流通事業者の運搬車等にも広く普及し、近い将来国内の商用車の主流となることが期待されます。

 

当ファンドは、日本のカーボンニュートラルの主流をなす事が期待される事業内容を評価し、投資致しました」と記している。

 

これを受けてEVMJでは、「今回の資金調達は、シリーズCラウンドとして前回の8月31日の調達と同様に( 出資者群は以下参照 )、現在受注を頂きましたお客様の仕込み資金を、今後想定される大量受注の案件等へ対応するための国内商用EV量産組立工場の建設資金や、EV市場のニーズに的確に応えるための試作車両・デモ車開発の研究費、組織体制の強化等に充当する予定となっております。

 

 

今後は、再エネの発電・蓄電・利用のマネジメントシステムを構築するとともに、再生可能エネルギー事業へ参画しビジネスフィールドの拡大に努めます。より具体的には強固な商用EV量産体制の構築と更なる車両ラインナップの拡充を図り、ゼロエミッション社会の実現へ邁進。

 

このようなビジネス展開を通じて、重要課題の解決に努める事で、〝一人からひとつの会社へ。ひとつの会社から世界へ〟を掲げてサステナブルな社会を目指してこれからも進んで参ります」と結んでいる。

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。