三井不動産は12月15日、街で暮らす人々に新たな体験価値を提供することを目的に、ヒト・モノ・サービスの「移動」に着目した「モビリティ構想」の一つとして、「不動産×MaaS」を始動させることを発表した。
「不動産×MaaS」の第一弾として、2020年9月に柏の葉エリアにて実証実験を開始したが、12月15日から日本橋エリア、12月21日からは豊洲エリアにおいても実証実験を開始する。
※MaaS:Mobility as a Service の略称
三井不動産が目指す「不動産×MaaS」は、不動産を起点とした近距離移動に焦点を当てたサービスを提供し、コミュニティにおける移動の利便性を高めるとともに、街の魅力的なコンテンツへの気づきと出会いをもたらすという。また、MaaSを不動産と組み合わせたサービスとして提供することで、立地に左右されない移動の利便性を提供する。
■三井不動産のMaaSの特徴
各地域で必要とされるMaaSは、画一的ではなく、物件・地域ごとの特徴を踏まえたサービス提供が重要であり、三井不動産の目指す「不動産×MaaS」においては、地域個別に最適なサービスパッケージを提供する。三井不動産のアセットを含む、街の魅力コンテンツ(目的地)に向けて、個人最適な移動をMaaSで実現する。
三井不動産はこれまでもグループ長期経営方針「VISION 2025」で定める通り、「人が主役の街づくり」として、働く人、訪れる人、そこに暮らす人、それぞれが満足するミクストユースの街づくりを推進してきた。
また、将来的には、住宅に加えて各地域にある商業施設、オフィスなどを含めてMaaSの提供を行い、それぞれのコミュニティ間をつないでいくことで、都市の活性化と付加価値向上を目指すという。
今回の実証実験において導入したMaaSアプリ“Whim”は、目的地までの検索、予約、決済そして実際にモビリティに乗車するところまでを1つのアプリでシームレスに行うことが可能。使用可能なモビリティは現時点で最大4種(カーシェア、シェアサイクル、バス、タクシー)あり、ユーザーの好みに応じて選択し、使用することができる。
実証実験においては、これらモビリティを月額定額制(サブスクリプション)のサービスとして提供し、ユーザーは多様な交通サービスを横断的に利用する。また、各物件敷地内にはWhim会員専用のモビリティとしてカーシェアおよびシェアサイクルを設置することで、自己保有のモビリティ感覚で利用できるようにする(設置可能な物件のみ)。
同サービスは、「MaaS」レベル3※に位置付けられ、シームレスな移動を体感できるものになっている。
※スウェーデンのチャルマース工科大学が提唱したMaaSを4段階に分類したうちのレベル3(複数の交通サービスを定額制で提供可能)に該当
■MaaS実証実験の概要
柏の葉、日本橋、豊洲とそれぞれ特徴の異なるエリアで実証実験を行い、各エリアで最適なMaaSの提供を目指す。柏の葉は「都市近郊型」、日本橋は「都心型」、そして豊洲は「準都心型」のモデル都市として位置付け、提供サービスに必要とされる要件の検討ならびに検証を進める。
柏の葉
– 実施期間:2020 年 9 月 12 日から 2021 年 1 月 31 日(予定)
– 対象者:パークシティ柏の葉キャンパス ザ・ゲートタワーウエスト在住の人
– 特徴:
サービス利用を促進・サポートすることを目的としてコミュニティマネジャー※を配置。トラブル発生時のサポートや、柏の葉エリアの普段は行くことの少ないお出かけスポットや、実証実験参加者限定のキャンペーンを企画・開催し、同サービスを通じた住民コミュニティ(生活圏)の拡張を促す取り組みを行う。実証実験参加者からは、MaaSの利用で「習い事の選択肢が広がる」「徒歩圏内からシェアサイクル、カーシェアで遠出するようになった」との声が寄せられている。
※ コミュニティマネジャーの正式なサービス導入については今後検討予定
日本橋・豊洲
– 実施期間:
①日本橋エリア:2020 年 12 月 15 日から 2021 年 3 月 31 日(予定)
②豊洲エリア :2020 年 12 月 21 日から 2021 年 3 月 31 日(予定)
– 対象者:以下のマンションに在住の人
①日本橋エリア
パークアクシス東日本橋ステーションゲート
パークアクシス日本橋浜町レジデンス
パークアクシス日本橋茅場町
パークアクシス日本橋堀留町
②豊洲エリア
パークアクシス豊洲キャナル
– 特徴:
商業施設連携施策として、実証実験参加者にコレド室町ならびにコレド日本橋のお買物券や、駐車場無料券を配布。また、柏の葉の実証実験で得たユーザーフィードバックを受けて、東京の実証実験ではユーザーの使い方に高い自由度を持たせたサブスクリプションプランを導入する。
■MaaS Global社との提携
三井不動産は、2019年4月に、世界初の本格的なMaaSのプラットフォーム「Whim(ウィム)」を展開するMaaS Global社(本社:ヘルシンキ、CEO Sampo Hietanen、以下 MG社)と街づくりにおけるMaaSの実用化に向けた協業について契約を締結し、それに伴いMG社への出資を行っている。
■三井不動産の「モビリティ構想」について
三井不動産はグループ長期経営方針「VISION 2025」にも定める通り、「街づくりを通して、持続可能な社会の構築を実現」、「テクノロジーを活用し、不動産業そのものをイノベーション」を目指している。
※ 「モビリティ構想」および、「モビリティ構想」の他プロジェクトである移動商業店舗に関する詳細
https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/news/2020/1215_01/
https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/news/2020/1215_03/